経済産業省は12月18日、自然エネルギーの固定価格買取制度の見直しを決めた。昨年秋に九州電力などが自然エネルギーの新規買取を一時停止したことを受けたものだ。見直し案は買取の抑制を骨子としており、「制度を骨抜きにする」との批判もある。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■黒岩神奈川県知事も反発
見直しでは太陽光と風力について、買取抑制の対象となる発電設備を、現行の出力500キロワット以上から全てに拡大。家庭向け太陽光発電も対象に含まれることとなる。
さらに買取抑制期間の上限も改める。現行では1日単位・年間30日となっているものを、時間単位とし、太陽光で年間360時間、風力では同720時間とする。
これに対して神奈川県の黒岩祐治知事は24日、定例会見で「太陽光発電の普及にブレーキがかかる」と反発。知事は太陽光発電の普及を公約に掲げており、近く国に見直しの撤回を求める考えを示した。
環境NGO「FoE Japan」は見直し案を「再生可能エネルギーを促進するためという制度の趣旨を骨抜きにするもの」だと批判。買取抑制で「接続可能量」を前提としている点を問題視している。
■「接続可能量」で買取量を抑制?
接続可能量とは、電力会社管内で受け入れ可能な自然エネルギー電源の容量のこと。同NGOは「ヨーロッパ等諸外国では、このように『接続可能量』を設定し、再生可能エネルギーを事実上抑制するようなことはしていない」と指摘。その上で「会社間連系線や揚水発電などを広域で積極的に活用」することなどを提言する。
接続可能量については、関西大学准教授の安田陽氏が論説「再エネが入らないのは誰のせい?:接続保留問題の重層的構造」(「Energy Democracy」11月28日掲載)で詳述している。