「高級ハイブリッド車に乗ってみたい」、レンタカー店で外国人観光客に人気

外国人観光客に人気のトヨタ「アルファード」
外国人観光客に人気のトヨタ「アルファード」

いま外国人観光客の間で、「高級ハイブリッド車」のレンタカーが人気だ。トヨタ「アルファード」など、特に途上国ではあまり販売していない仕様のクルマを借りたいという声が多いという。レンタカー業界も着々と布石を打っている。(オルタナ編集委員=高馬卓史)

日本文化や円安などを背景に、日本を訪れる外国人はこの1-2年で急増し、年間1200万人を超えた(日本政府観光局調べ)。2020年開催の東京オリンピックに向けて、こうした「インバウンド」の需要はますます高まると見られている。

海外でも、もちろんハイブリッドカーは販売されており、販売台数の伸びも順調だ。

ただし、アジアなど一部の国でネックとなっているのが、ハイブリッドカーに搭載されているエンジンのメンテナンスができる修理工場の数が少ないことだ。こうした背景があり、外国人にとって、高級ハイブリッドカーは「高嶺の花」になっている。

ハイブリッドカーは、いわば「日本のお家芸」。トヨタが「プリウス」を発売して以来、日本の自動車メーカーは、ハイブリッド技術でしのぎを削っていて、もはや、海外メーカーは技術開発では後追いするばかりの状況だ。

そこで、日本に訪れた外国人観光客は、「この際に」と、日本の高級ハイブリッドカーをレンタルしている。なかでも、人気を集めているのが、トヨタの「アルファード」。どっしりとした重量感と広い室内空間があるので、高速道路を使う長距離ドライブには最適だ。

ニッポンレンタカーサービス営業本部の倉田靖晴フランチャイズ事業部長によれば、「日本人の平均的なレンタル料は、15000円程度。しかし、外国人観光客は、滞在日数分借り切り、しかも高級車種ですから、3~4万円をレンタル料で使います。なかには、関西国際空港でクルマをレンタルして、そのまま九州まで足を延ばし、さらには、北陸まで回るお客様も。滞在中、1000~2000キロメートル、ドライブされる方も珍しくはありません」という。つまり、客単価としても「上客」というわけだ。

こうした流れを受けて、レンタカー業界も、高級車種を含めたハイブリッドカーの導入を積極的に進めている。最大手のニッポンレンタカーも、ハイブリッドカーを新規に200台程度、導入する予定という。

通訳を担うコールセンターの設置も進めている。レンタカー業界の最大の悩みは、多言語対応のカーナビがないこと。「こればかりは、レンタカー業界としても頭が痛い状況です。自動車関連業界に、一日も早く、多言語対応カーナビ装着のクルマを開発して欲しいと願っています」(倉田部長)

円安の追い風の中、東京五輪にむけて、ますます外国人観光客が増える流れは止まらないだろう。地方に行けば、多くの名所・名跡、あるいは、里山など自然豊かな美しい風景もある。かつてはお題目のようだった「観光立国日本」が、いつの間にか実現しつつある今こそ、受け入れ側の日本は、もっと戦略的に、訪日外国人を「おもてなし」する態勢が望まれるのではないだろうか。

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高馬 卓史

1964年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。総合情報誌『選択』編集長を経て、独立。現在は、CSR、ソーシャルビジネス、コミュニティ・デザインなどをフォロー中。執筆記事一覧

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