記事のポイント
- ファッションブランドのエシカル度を採点するサイトが話題だ
- 国内約500のファッションブランドの環境性や透明性などを比較できる
- 商品の背景を考慮した消費行動に変えていくことを狙う
ファッションブランドのエシカル度を採点するサイト「Shift C(シフトシー)」が話題だ。2015年にオーストラリアで始まったサービスだが、2023年末に日本版ができた。国内の約500ブランドを含む世界6200ブランドの透明性や環境性などを一目で比較できることが特徴だ。服を選ぶ際、デザインや価格帯と同じように、エシカル度も考慮した消費行動に変えていくことを狙う。(オルタナ副編集長=池田 真隆)

「Shift C(シフトシー)」を運営するのは、再生可能エネルギーの小売り事業などを行うUPDATER(東京・世田谷、アップデーター)だ。同社は「(生産者の)顔が見えないこと」が、社会課題の背景にあると考え、ブロックチェーンなどを活用し、透明性を重視した再エネ供給事業などを行う。
ファッション産業についても、サプライチェーンの透明性を高めたいと考え、シフトシーを立ち上げた。
ブランドのエシカル度については、「素晴らしい」「良い」「これから」「まだまだ」「他の選択を」――の5段階でスコアリングした。

■世界最大規模のエシカル評価機関を日本に導入した
同サービスは、2015年にオーストラリアで始まったものだ。同国では「Good On You(グッド・オン・ユー)」という名称だ。
すでに世界の6200超のファッションブランドのエシカル度を比較できるようになっており、世界最大規模のエシカル評価機関としても知られる。
グッド・オン・ユーは、サプライチェーン全体のGHG排出量や環境汚染リスク、児童労働や強制労働の有無、アニマルウェルフェアへの対応など100~1000の評価項目を定め、各ブランドの公開情報を基に格付けした。

米国、英国、カナダ、フランス、ドイツなどにも広がり、世界全体のユーザー数は900万人以上を誇る。25~34歳が最大の利用者層で、その次に18~24歳、35~44歳と続く。

■ブランドのエシカル度向上に向けたサポートも
アップデーターは2023年にシフトシーを立ち上げるに当たり、オーストラリア本国のグッド・オン・ユーと提携した。6200超のブランドを評価したデータベースと連携し、シフトシーでは国内ブランドだけでなく世界のブランドのエシカル度も調べられる。
シフトシーでは、ブランドの担当者を取材した記事やスタイリストによるお勧めのコーディネートを紹介した記事も配信する。サービスを立ち上げて1年が経過したが、閲覧数は月間10万PVを達成した。
ブランド担当者向けに「Good Measures(グッドメジャーズ)」という有償のサービスも提供する。同サービスでは、評価の改善につながるサポートを行う。

シフトシーのアドバイザーとして参画する一般社団法人unisteps(ユニステップス)の鎌田安里紗・共同代表は、「ファッションブランドのネガティブな側面を可視化したいのではなく、サステナブルなブランドになる後押しをすることが目的です」と話す。
サステナブルなブランドが公正に評価される社会へ――。これは、シフトシーが掲げる大目標の一つだ。