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英国サウサンプトン大学の実験結果によると、仕事に応じて慈善団体への寄付金を提供する「慈善的インセンティブ」を与えられると、仕事の生産性が最大で30%高くなるようです。(NPOマーケティング研究所代表=長浜洋二)

この実験は、同大学の学生300人を対象に、1週間の内に、オンラインでのデータ入力の仕事を4セション(1回あたり1時間)行うというもので、学生は4セッションを完了すると20ポンドを支払われます。パフォーマンスは、データの入力数と正確さに基づいて評価されました。

実験では4つのグループに分類され、それぞれのグループで、提供される金銭的インセンティブと慈善的インセンティブが異なっています。データ入力数に応じて複数のインセンティブを得るグループもあれば、慈善団体に対して一定の寄付金を提供するものから、パフォーマンスに応じて寄付金が変わるものなどのバリエーションがあります。

実験の結果、寄付金額が一定であるか、パフォーマンスに応じてであるかを問わず、平均で13%ほどパフォーマンスが上昇しました。中でも、実験開始時に最もパフォーマンスが低かったグループは、30%も上昇したようです。また、パフォーマンスに応じたインセンティブのうち、いくらを寄付に回すかを選択できるグループでは、被験者の半分以上が報酬の一部を寄付に回すことを選択しました。

この実験の研究者は、慈善的なインセンティブは金銭的なインセンティブに比べて若干モチベーションを掻き立てる効果が低いものの、その差は想定されたほど大きなものではないと分析しています。また、企業において寄付プログラムを設計する場合には、一定額ではなく、従業員が寄付額を決められるようなスキームの導入を提言しています。

企業寄付プログラムの有無や具体的な仕組みは、社会貢献意識の高い企業に就職しようと考える「ミレニアムズ(2000年代に成人を迎えた人々)」にとっては大きな関心事となります。優秀な人材を採用し、その人のモチベーションを高め、パフォーマンスを最大化するためにも、企業は、寄付プログラムを含むCSR戦略について、しっかりと制度の設計を行う必要がありますね。

◆英国ウサンプトン大学研究結果
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/01/150106203000.htm