世界人口の1%を占める富裕層が世界の富の約半分を所有する現在の圧倒的不平等や、気候変動、食糧・エネルギー問題など―これらの問題は資本主義が「共有地の悲劇」の結果今や危機に瀕していることを表しています。
そして消費者やNGO、メディアなどのステークホルダー(以下、SH)がボイコットやキャンペーンなどの手段により声を上げ力を持つようになり、行政による法規制が強化される中、企業は社会的・環境的価値を創出する必要に迫られています。経済的価値のみならず社会的・環境的価値を最大化していくには、どのような条件を満たす必要があるのでしょうか?
この問いを検討するためにSH――中でも消費者と従業員――の反応に着目して統計調査を行った結果、両者ともに帰属性(企業に対して抱く一体感・帰属感)が重要であることが明らかになりました。
企業の社会的取り組みについてその特性や有用性をSHが認識する度合いが高いほどその企業に対する帰属性が高まり、結果として購買意欲や会社に対する忠誠心が高まるのです。この調査結果から、社会的・環境的価値の創出が収益性を高める要因になるといえるのです。
積水ハウス和田勇代表取締役会長からは、企業が持続的発展に寄与しながら収益性を確保していく企業戦略について、積水ハウスにおける考え方と具体的取り組みが報告されました。
住宅事業は犯罪対策、まちづくり、防災、環境共生などあらゆる社会的課題に対応していく必要があるとの理解のもと、同社では2005年、従来の環境的・社会的・経済的価値の創造から発展させたサステナブル・ビジョン(4つの価値と13の指針により構成)を策定しました。本ビジョンに基づき、SHに価値を提供して自社の競争優位に結びつける取り組みを進めています。