社会における企業のあり方に関する国際的議論の動向【企業と社会の関係】

齊藤紀子さん齊藤 紀子(企業と社会フォーラム(JFBS)事務局長)

今号では、社会における企業のあり方をテーマとする学界動向として、2014年後半に開催される国際会議の中から、JFBSが連携しているものを中心にご紹介します。

フンボルト大学「国際CSRカンファレンス」は、CSR研究を行う最大級の国際会議です(http://www.csr-hu-berlin.org/)。フンボルト大学経営研究所が中心となり、2004年より2年に1度偶数年にベルリンで開催しています。

現在では世界中から600人ほどの研究者・経営者・政策立案者・市民組織代表者が集うようになり、多様な見地から議論を行っています。これまで「CSRの未来」「CSRに関するグローバルレベルの課題」「企業の責任とガバナンス」などを統一テーマとして議論が行われてきました。

本カンファレンスとJFBSの関係は深く、2013年9月には共同で「CSRとコーポレート・ガバナンス」をテーマとして、東京・早稲田大学で開催しました。16カ国から160人以上が参加して議論・交流したこの会議の内容は、第13号から第19号でご紹介した通りです。

2014年10月8、9日には、「持続可能性のためのイノベーションの推進」をテーマとして第6回国際CSRカンファレンスがベルリンで開催されます。「グローバルレベルで持続可能性を追求していくためには、漸進的改善よりもむしろ創造的破壊によって、企業および社会による価値創造を促すことが必要である」との趣旨のもと、様々なトピックスが議論される予定です。

とくに持続可能性とイノベーション、マルチステイクホルダー・ガバナンス、投資家と持続可能性、組織内への持続可能性の組み込み、ソーシャル・イノベーション、ソーシャル・アントレプレナーシップ、などのテーマが挙げられています。

次に、「社会における企業学会」(ABIS)は、「社会における企業」というテーマのもと研究・議論を行う国際学会です(http://www.abis-global.org/en)。ABIS は、大学・ビジネススクール・研究機関・企業などから構成されるユニークな連合体としてブリュッセルで2002 年に設立されました。企業と社会に関する諸課題をマネジメント理論に取り込むよう研究し実践していくことをミッションとし、毎年年次大会を開催しています。

saitoh_noriko

齊藤 紀子(企業と社会フォーラム事務局)

原子力分野の国際基準等策定機関、外資系教育機関などを経て、ソーシャル・ビジネスやCSR 活動の支援・普及啓発業務に従事したのち、現職。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了、千葉商科大学人間社会学部准教授。

執筆記事一覧
キーワード:

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..