子どもの「未来格差」止めるため、学習塾運営資金を募る[朝山 あつこ]

現在、この学習室の成果を知ってくださった多くの方が、全国からご見学に見えています。私たちのノウハウは全国各地の同じ問題を抱える子どもたちへの救いになると信じて、そのノウハウを皆様にお伝えしたいと考えています。

学習塾での様子
学習塾での様子

2015年度、従来運営していた学習会では、市予算の関係で中学1年生~2年生へは支援が手薄になることが決まってしまいました。

そこで、私たちNPOとして、たくさんの皆さんの「協力します!」の声を勇気に変えて、川崎市の中学1年生~2年生を対象とする学習支援・居場所つくりを、キーパーソン21の自主事業として行うことを決定し、もう一つの「わくわく学習室」(仮称)をオープンすることにしました。川崎市の殺害された中学生は1年生でした。「中3からの支援」では遅すぎるのです。

■対象:川崎市内の貧困家庭で育つ中学1年生と2年生(まずは、中原区でスタート)
■オープン:2015年7月1日予定
■内容:学習支援と居場所の提供

自主事業であるため、自分たちで資金を集めています。また、継続していくためのご支援ご協力を随時お願いしています。
・2015年6月11日(木)まで クラウドファンディングready for?にて
https://readyfor.jp/projects/kp21

・2015年6月12日(金)以降 キーパーソン2webサイトにて
http://www.keyperson21.org/support/supporter

【昨年度の学習会に通っていた中学3年生のS君の場合】
お母さんに「お願いだからと行って」言われて渋々学習会にやってきました。その時、成績はかなり低く、このままでは高校進学は厳しいという状況。しかも来たり来なかったりの休みがち。来ても終わり間際の5分前に到着。そんな日が続いていました。そんなある日、将来の目標を見つける私たちの夢!自分!教育プログラムを実施したところ、「めっちゃ自分に感動した」って。どういうこと?と尋ねると、次のことを話してくれました。

将来は幸せな家庭を築きたい。
そのためにはお金を稼がなくてはならないことは分かっている。
どうせ働くなら、好きなことをしたい。
モノを作るのが好きだし、すごくわくわくする!
それなら建築に関する仕事がしたい!
建築科のある学校に行って資格をとりたい。もっと勉強したい!
って思ったんだ。といっきに話して目を輝かせていました。そこから、彼の学習意欲に火がついて、猛勉強を開始。絶対に無理と思われた全日制高校建築科に見事合格。今も時々、高校の制服を着て学習会に顔を見せに来てくれます。

根の優しい彼には、エネルギーがある。しかし、エネルギーの矛先は、大人の対応一つで、違う方向に向いていってしまうことだって十分想像できる。今、私たち大人がしなくてはならない一番大切なことは、子どもの安心の居場所をつくり、一人ひとりが持っているエネルギーの行先(未来)を一緒になって丁寧に発見していくことではないでしょうか。私たち地域の大人がしなくてはならないことは、明白です。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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