経産省が「ダイバーシティ経営」の推進に向けたガイド

記事のポイント


  1. 経産省は4月14日、「ダイバーシティレポート」を公表した
  2. 日本企業がダイバーシティ経営に取り組む際に直面する課題などをまとめた
  3. 経産省では、競争力強化のためにはダイバーシティが不可欠とした

経産省は4月14日、「ダイバーシティレポート」を公表した。日本企業がダイバーシティ経営に取り組む際に直面する課題や経営陣に求められる考え方をまとめた。多様性を推進することで自社の競争力向上につなげたいと考える担当者にとって参考になるレポートだ。(オルタナ輪番編集長=池田 真隆)

同レポートでは、ダイバーシティを推進する施策として、経営戦略や人材ポートフォリオの策定の仕方を紹介した。ダイバーシティの考えを社内に浸透させるヒントや業務の見直し方も掲載している。

経産省は同レポートで一貫して、ダイバーシティの推進は経営戦略の実行に欠かせない要素だと伝えた。ダイバーシティやインクルージョンの浸透が進む組織ほど、社員の心理的安全性が高い。心理的安全性が高いことはイノベーションの促進にもつながる。

レポートでは、先が見えないVUCA時代には、多様な知や経験を組織内に持つことで自社のレジリエンスが高まるとした。

ダイバーシティをマネジメントするには、法令遵守など形式的な対応に加えて、企業価値向上につながる施策を考えることが重要だ。同レポートでは、形式的な対応だけでなく中長期的に企業価値を高める施策を紹介している。

多様性を競争力につなげるには、形式を整えること(Not Only This)に加え、企業の価値向上につながる施策が重要とした

日本の経営者の内部昇格率は97%

日本企業の組織文化は同質性が高い。経産省の調査では、日本の経営者の内部昇格率は97%(2018年)だった。米国とカナダの79%、西欧の76%と比べて高い。

管理職に占める女性の割合は諸外国に比べて大きな遅れをとる。独立行政法人労働政策研究・研修機構によると、2022年の管理職に占める女性の割合は、日本企業はわずか12.9%だった。米国(41.0%)、英国(37.2%)の三分の一、ドイツ(28.9%)、イタリア(27.9%)、マレーシア(24.9%)の半分以下だ。

ダイバーシティの意義や成果を改めて考え、自社の経営戦略に紐づける形で推進することがサステナ経営には欠かせない。

・ダイバーシティレポートはこちら

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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