ネスレ日本など22社が協力、福島にアップサイクル体験ストア

記事のポイント


  1. 福島県会津若松市にアップサイクルの体験型ストアが立ち上がった
  2. 店舗の内装やサービス開発はネスレ日本など22組織が協力した
  3. アップサイクル商品の販売に加えて、伝統工芸の体験もできる

ネスレ日本(神戸市)やセイコーエプソンなど22組織が協力して、福島県会津若松市にアップサイクルをテーマにしたコンセプトストアを立ち上げた。店舗の壁材や床板、販売商品やサービスについては22組織が自社のリソースを持ち寄って開発した。店内では、アップサイクル商品の販売に加えて、伝統工芸の体験もできる。(オルタナ輪番編集長=池田 真隆)

店舗は明治時代にできた古民家を改装した2階建て

店舗を立ち上げたのは、一般社団法人アップサイクル(大阪市)。同団体は、ネスレ日本や日清紡グループのニッシントーア・岩尾(東京・中央)、神戸市などが中心となって2023年2月に設立した。廃棄素材を生かしてより価値のある製品をつくるアップサイクルの啓発を通して環境負荷の低減に取り組む。

現在では、設立当初の3倍以上となる48の企業や団体が参画する。参画組織同士が協力し合い、食品残渣などのリサイクル率向上を目指している。

今回、店舗の立ち上げに際し、アップサイクルに参画する48組織中、22組織が協力に名乗りを上げた。

■セイコーエプソンは最新プリンターを提供へ

セイコーエプソンは最新のガーメントプリンターを提供した。ガーメントプリンターとは、Tシャツなどの衣類に直接インクジェットで印刷できるプリンターを指す。産業機械などを取り扱う専門商社のユアサ商事は沖縄の赤土をアップサイクルした壁材を店舗の内装材として提供した。

アップサイクルが会津若松市に立ち上げた店舗の名称は、TSUMUGI(ツムギ)。ツムギは、アップサイクルが団体として取り組む主力プロジェクトの名称だ。スーパーマーケットや参画企業のオフィスなどで回収した紙資源と未利用の間伐材を紙糸に変える取り組みだ。

アップサイクルでは、この紙糸を使って手ぬぐいやアクセサリー、トートバックなどを開発した。その特徴は、加賀友禅や大島紬、会津型などの伝統技術で作った点にある。ツムギでは、「地球環境と伝統技術を次世代に紡ぐ」をコンセプトに掲げる。

ツムギのブランド商品の一つであるアクセサリー

店舗では、紙糸で作った商品の購入に加えて、伝統技術の体験もできる。紙糸による機織りや福島県喜多方で生まれた伝統染色技法「会津型」の体験だ。

アップサイクルの瀧井和篤・事務局長は、「観光に来た際に気軽に伝統工芸を体験して欲しい。素材はアップサイクルでできているので、環境負荷の低減にもつながっている」と話した。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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