当事者が作る「摂食障害を見つめ直すスタディツアー」

「過食嘔吐していた私だからこそ『食の大切さ』を伝えられる」食育イベントでプレゼンする金子さん
「過食嘔吐していた私だからこそ『食の大切さ』を伝えられる」食育イベントでプレゼンする金子さん

自分ではコントロールできない拒食や過食等を繰り返す摂食障害。その当事者たちが「『食』を通じて、摂食障害について、当事者もそうでない人も、みんなで一緒に考える」スタディツアーをプロデュースする。(遠藤一)

主催は様々な社会問題当事者によるスタディツアーを興行するリディラバ。8月2日(日)、渋谷のレンタルカフェにて「『手間をかけて』料理をつくり、『みんなで』食べる」ミールレッスン(食事の練習)を行った後、参加者や当事者をまじえたワークショップやディスカッションを行う。

ツアーをプロデュースするのは現在会社員をしながら、子どもたちに「食育科学実験ワークショップ」を行う団体「キッチンの科学プロジェクト」の共同代表をつとめる金子浩子さん。

現在25歳の金子さんの摂食障害歴は6年ほど。社会問題を紹介するサイト「TRAPRO」にて、自身の摂食障害体験を顔・体型写真の変遷つきで書くと、30万のPVがあった。
 
金子さんの家庭は栄養学的な関心から遠く、夕ご飯にスーパーの半額弁当は当たり前だった。 「私自身が摂食障害になった時に、はじめて痩せるためカロリーのことや、肌あれしないため栄養素などを調べ始めた。病気から学んだことは多く、マイナスに思っていないし、隠す意味はない」(金子さん)

金子さんは生まれつき左足に障害があり、大学1年の時に手術を行った。 成功したがリハビリの回復が遅く、周囲から「太っているから(体重の負担で)治りが悪いのでは?」と言われた。

悔しさからジム通いをはじめたが、運動量をこなせず体重が落ちない。「そこで食べることが怖くなっちゃった。頑張っているのに痩せないなら、いっそ食べないほうが…。ジムに3時間いて帰って豆乳一本だけという生活」(金子さん)さらに好きな男性から「もうちょっと痩せていたほうが…」と言われたことも拍車をかけた。

生理も止まり、体重34kgの体脂肪5%になったが、ネット情報の「ダイエットをやめるとリバウンドがくる」が頭にこびりつき、食生活も運動量も元に戻せなくなった。

大学4年になり、食べ始めるようになっても嘔吐をするようになった。吐ききれなくて体重が増えると、朝起きられなくなったり過眠状態に。病院に通うと『摂食障害』という診断をもらえ「私はちゃんと当事者なんだ」と病気として受け入れられブログにも書けるようになったという。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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