緑が輝く銀座の屋上庭園に資生堂が込めた思い[CSR48・太田 康子]

ハイブランドのショップが立ち並び、近年は外国人観光客にも人気の高い東京・銀座。その中心に、緑豊かな屋上庭園があると聞いて訪問した。銀座7丁目に本社を構える資生堂が、2013年10月の新本社ビル完成ともに屋上に設置した「資生の庭」だ。都会のど真ん中に100種類近くの植物が生息する文字通りのオアシスである。(CSR48、リコージャパンCSR推進部=太田康子)

資生堂本社ビル外観。断熱とCO2削減の取り組みは、「CASBEE(建築環境総合性能評価システム)」で最高位のSランクを取得
資生堂本社ビル外観。断熱とCO2削減の取り組みは、「CASBEE(建築環境総合性能評価システム)」で最高位のSランクを取得

まずビル自体の外観の美しさにハッとする。同社のシンボルマークのひとつである唐草模様にちなんで「未来唐草」と名付けられた白いアルミシェードが、無機質なビルをやわらかく包み込む。環境性能の高い資材を使用しているので断熱効果も高いそうだ。

一般には非公開の屋上の「資生の庭」を、特別に取材させてもらった。庭は「鎮守の杜」「語らいの木陰」「知見の水辺」の3つのゾーンに分かれる。ツバキ、イロハモミジ、アマナツミカン、オリーブといった木々の葉が風に揺れ、銀座にいるとは思えないほど静かで心地よい空間だ。ヒヨドリや、蝶やミツバチの姿を見ることもできる。

「資生の庭」にある「語らいの木陰」を抜けると「知見の水辺」
「資生の庭」にある「語らいの木陰」を抜けると「知見の水辺」

この庭の開設には、新本社ビル建築のために環境調査の専門家が実施した周辺地域の生きもの調査を参考にしたそうだ。単なる屋上緑化ではない。新本社ビルが都心の緑地である皇居や日比谷公園と、浜離宮恩賜公園を結ぶ約2キロの間にある立地条件を活かし、生物多様性への貢献を意識して植栽をしている。

「甘草」の乾燥させた根は甘味料や生薬、化粧品の原料に
「甘草」の乾燥させた根は甘味料や生薬、化粧品の原料に

なかでも興味深いのは「知見の水辺」と呼ばれるエリアだ。ここに植えられた綿の木は化粧コットンの材料、サトウキビは紙のパッケージや植物由来プラスチック容器に用いられるなど、資生堂の製品の原材料となる植物を植えて社員が学ぶ機会を作っている。商品開発担当者と一緒に植えることもあるという。

「CSR48」は、企業のCSR担当者を中心に「CSRに関心のある女子たち」が集まったグループ。「CSRをもっと身近に」をミッションに、勉強会やイベントを実施する。⽬指すのはサステナブルな社会と、女性のエンパワーメントによって、利害や⽴場を超えて、より良い社会に向けたアクションをおこすこと。メンバーの所属は、商社、メーカー、ゼネコン、NPO法人などさまざま。 雑誌オルタナの連載の他、イベント登壇や4月はじまりのSDGsカレンダー発売など多彩に活動を広げる。オフィシャルブログ 執筆記事一覧

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