記事のポイント
- 金融庁は2027年3月期から段階的にSSBJ基準での開示を義務付ける
- サステナ情報開示の基準が整ってきたからこそ、攻めの情報開示が重要に
- 非財務情報を通じて、自社の価値創造ストーリーを力強く語るべき
近年、我が国のサステナビリティ開示基準(SSBJ基準)、IFRSサステナビリティ開示基準、欧州サステナビリティ報告指令(CSRD)など、いわゆる「ハードロー」を中心にサステナビリティ情報開示の制度整備が進んでいる。企業にとって開示項目が明示されることで対応の道筋が描きやすくなる一方、開示すべき情報の範囲は拡大しつつある。そのような制度対応に加え、実務の現場では新たな動きが静かに広がっている。(トーマツ 非財務・サステナビリティ保証統括部パートナー=小口誠司)
それは、法令で義務付けられていない非財務情報の「自主的な開示」である。背景には、「財務に影響を及ぼし得る非財務要素」の多様化がある。
非財務情報と企業価値の因果関係を明確に説明することは容易ではないが、それでも多くの企業が、自社の価値創造の文脈に即して、GHG排出量の削減ロードマップ、従業員エンゲージメントと生産性の相関などの情報などを語り始めている。
こうした動きを後押しする一例が、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2025年6月に公表した「ESG(環境・社会・ガバナンス)要素と企業価値に関する効果検証報告書」で示されている。
■「投資家や社会への説明責任」、情報開示の軸足に
■開示対象を主体的に拡張する動きが拡大していく
■企業価値と非財務情報の因果関係、投資家が求める