記事のポイント
- 大成建設が最高時速60キロでの「走行中給電」の実証に成功した
- 実証では一般車両の走行時に最大出力10kWの連続無線給電に成功した
- これまで国内の実証では、最高時速20キロ程度だった
大成建設はこのほど、時速60キロでの走行中給電の実証に成功したと公表した。同社が建設した道路で実証実験を行い、一般車両の走行時に最大出力10kWの連続無線給電に成功した。これまで国内の実証では、最高時速20キロ程度だった。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)
大成建設は、福島県田村市に新設した次世代技術などを実証する施設内に無線で給電できる道路(20m)を施工した。道路に埋設した送電電極から走行中のEVに無線で給電する「電界結合方式」を採用した道路だ。
その道路では、最高時速60kmで走行する一般車両のEVに対しても、最大出力10kWの連続無線給電を行えることが分かった。
道路側からの最大10kWの送電出力に対して、EV側で6~7kWの電力を連続で受電できていた。
これまで国内の実証実験におけるEVの走行速度は、最高時速20km程度に留まっており、高速走行時のEVへの無線給電の実現が技術開発上の課題となっていた。
今回の実証に使った無線給電道路は、大型施工機械を用いる従来の工法とほぼ同じ施工法で対応できるという。
電界結合方式による無線給電道路では、送電電極と送電システムを道路の表層から100mm以上の深さに埋設した。従来の高速道路と同様の交通量で大型車両が走行可能な舗装構造になっている。
今後同社は、中型・商用車両などのEVに対応可能な無線給電道路の実用化と高速道路への本格適用に向けた実証を進めていく。