少年時代の憧れだったクマゼミ――私たちに身近な生物多様性(12) [坂本 優]

IUCN(国際自然保護連合)が定義する「絶滅のおそれのある野生生物のリスト」には、2014年11月時点で約2万2千種が登録されている。生物多様性の確保は喫緊の事項だ。本コラムでは、味の素バードサンクチュアリ設立にも関わった、現カルピス 人事・総務部の坂本優氏が、身近な動物を切り口に生物多様性、広くは動物と人との関わりについて語る。(カルピス株式会社 人事・総務部=坂本 優)

東京のクマゼミは、なぜか、木々の高いところに止まることが多く、 背中の黒がはっきりわかるような正面から観察できる機会は比較的少ないようだ
東京のクマゼミは、なぜか、木々の高いところに止まることが多く、背中の黒がはっきりわかるような正面から観察できる機会は比較的少ないようだ

私の勤務先は恵比寿の防衛研究所の近隣だ。防衛研究所は敷地が広大なうえに緑豊かで、夏は研究所の内外からのさまざまなセミの鳴き声で終日にぎわう。おなじみのミンミンゼミやアブラゼミ、ツクツクホウシなどの他、時折、地味な声ながら、ソロの隙間や合間を埋めるバックコーラスのように響くクマゼミらしき声もする。

ご承知のとおり、かつてクマゼミは、本州の中では南西部に分布し、関東地方には生息していないとされていた。それがここ数年の間に都内でも一挙に分布を広げた。まさに温暖化を体現するようなセミだ。

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坂本 優(生きものコラムニスト/環境NGO代表)

1953年生。東京大学卒業後、味の素株式会社入社。法務・総務業務を中心に担当。カルピス株式会社(現アサヒ飲料株式会社)出向、転籍を経て、同社のアサヒグループ入り以降、同グループ各社で、法務・コンプライアンス業務等を担当。2018年12月65歳をもって退職。大学時代「動物の科学研究会」に参加。味の素在籍時、現「味の素バードサンクチュアリ」を開設する等、生きものを通した環境問題にも通じる。(2011年以降、バルディーズ研究会議長。趣味ラグビー シニアラグビーチーム「不惑倶楽部」の黄色パンツ (数え歳70代チーム)にて現役続行中)

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