記事のポイント
- ネイチャー誌にCO2排出量と熱波の関連を体系的に分析した論文が掲載された
- 研究チームは2000年から2023年に発生した213件の熱波を分析した
- 論文は人為的な温暖化が熱波の頻度と強度を大幅に高めていることを指摘した
米科学誌「ネイチャー」にこのほど、世界の主要な化石燃料・セメント企業のCO2排出量と熱波の関連を体系的に分析した論文が掲載された。研究チームは2000年から2023年に発生した213件の熱波を対象に、産業革命前と比較した。論文は、人為的な温暖化が熱波の頻度と強度を大幅に高めていることを指摘した。(オルタナ輪番編集長・吉田広子)
ネイチャー誌に掲載された論文によると、熱波の強度は2000年代で平均1.4℃、2010年代で1.7℃、2020年代では2.2℃上昇した。発生確率は2000年代に約20倍、2010年代には約200倍に膨らんだ。さらに、213件のうち約4分の1は、人為的温暖化がなければ発生しなかったと指摘している。
加えて、研究チームは、世界180の「カーボン・メジャーズ(主要排出企業)」のCO2排出との関連を分析した。これらの企業は化石燃料・セメント由来CO2排出の約75%を占め、熱波の強度増加の約半分に影響していると算定した。
特に、サウジアラムコ、エクソンモービル、ガスプロムなど、世界の主要な化石燃料企業14社は、通常であれば「ほとんど起こり得ない」とされる50件以上の熱波に関与していた。
研究者は「大手だけでなく、規模の小さい企業を含めすべての排出企業が熱波の発生に実質的に寄与している」と警告。今回の研究は、企業ごとのCO2排出を極端気象と結び付けた初の体系的分析として、気候訴訟や政策議論にインパクトを与える可能性がある。