記事のポイント
- クライメート・インテグレートが、「ネットゼロを評価する 2025」を発表した
- 日本の温室効果ガス排出量の約40%を占める主要企業10社を対象にした
- いずれも1.5℃目標に必要な削減水準を満たさなかった
気候政策シンクタンクのClimate Integrate(クライメート・インテグレート)はこのほど、日本の温室効果ガス(GHG)排出量の約40%を占める主要企業10社を対象にしたレポート「ネットゼロを評価する 2025」を発表した。対象はJERA、J-POWER、日本製鉄、JFE、ENEOS、太平洋セメント、三菱ケミカル、ANA、王子ホールディングス、トヨタ自動車の10社だ。いずれも1.5℃目標に必要な削減水準を満たさなかった。(辻陽一郎)

対象となった10社は2050年のネットゼロ目標を掲げていたが、2023年以降の環境統合性スコアは全社で「低い」にとどまり、地球温暖化の1.5℃抑制に必要な水準を達成していなかった。
■再エネ転換と石炭火力の段階的廃止を
電力セクターは長期目標達成に向け、アンモニア・水素混焼やCCS(二酸化炭素回収・貯留)などの新技術活用を掲げているが、石炭火力の段階的廃止を明確に示さず、技術頼みの姿勢が懸念された。再エネ転換も遅れており、「再エネ電力100%」を宣言した企業はなかった。
クライメート・インテグレートは、企業に対し2030年目標の1.5℃整合性確保と石炭火力など化石燃料の段階的廃止を求めている。また政府には、GX-ETS(GX排出量取引制度)によるカーボンプライシングの構築や、石炭火力廃止・再エネ導入加速策を通じ、企業の削減計画の質と信頼性を高める役割が期待される。