ついに誕生!国際フェアトレードタウン名古屋![三輪 昭子]

「おめでとう!名古屋市!これでフェアトレードタウンの一員だ!」。名古屋市は2015年9月19日、アジア・日本で熊本市に次いで二番目のフェアトレードタウン認定となった。当日は「環境デーなごや2015」が開催された久屋広場ステージで、フェアトレードタウン名古屋の認定式、さらに名古屋市長とフェアトレード・名古屋ネットワーク(FTNN)との調印式が行われた。名古屋市がフェアトレードタウンに加盟したことを受け、フェアトレードとは何か、改めてまとめてみたい。(愛知学泉大学 准教授=三輪昭子)

左から原田さとみさん、河村名古屋市長、大村愛知県知事。祝賀会で
左から原田さとみさん、河村名古屋市長、大村愛知県知事。祝賀会で

毎年5月第2土曜日は、世界中フェアトレードデーだ。フェアトレードを推進するイベントが世界各地で催され、名古屋市はその認定に向けての大詰めの段階にあった。同年3月10日、名古屋市議会で「フェアトレードの理念の支持に関する決議」が全会一致で採択された後の、市長の支持表明を待っていたのだ。

河村たかし名古屋市長は、フェアトレードの理念を支持し、「日本一の貿易港である名古屋は、フェアトレードをやるのに最もふさわしい所だで!やろみゃ!」と名古屋がフェアトレードタウンになることを応援していくと宣言した。大村秀章愛知県知事も名古屋市のフェアトレードタウンを応援。「みんなでやろみゃあ!フェアトレード!」を合言葉に会場に集まった人々が声を合わせ心をつなぎ、大きな一歩を踏み出したのだ。

ところで、フェアトレードタウンとは、何だろうか。ここ数年、「フェアトレード」という言葉はどこかで耳したり、眼にしたりする機会があったかもしれないが、その意味するところを知らないままでいたという人は、多いのではないだろうか。そして、その言葉に、街を表すタウンという言葉が加わり、フェアトレードタウンである。どんな街のことだろうか。

端的に言えば、フェアトレードタウンとは、市民、小売店、大学、学校、企業、行政など街全体でフェアトレードを応援する街のことである。世界には1700以上(2015年8月1日現在)のフェアトレードタウンが存在する。

そして「フェアトレード」。直訳すれば「公平な貿易」ことである。現在のグローバルな国際貿易の仕組みは、経済的にも社会的にも弱い立場の開発途上国の人々に、時に「不公平」で貧困を拡大させるものだという問題意識から、南北の経済格差を解消する「もう一つの貿易の形」としてフェアトレードを推進する運動が始まった。

フェアトレードは、発展途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指ざす「貿易のしくみ」のことを、示しているのである。

それを街レベルで推進していこうとする「フェアトレードタウン運動」の発起人は、人口4千人のイギリスの小さな街、ガースタング(Garstang)に住むブルース・クローザーさんという男性。彼はフェアトレードタウン運動を考え出し、地元ガースタングのオックスファムグループと共に地域に働きかけ、2000年4月、ガースタングをフェアトレードタウン世界第一号として誕生させた。

フェアトレードタウンになるためには6つの基準があり、これらの基準を満たすことが必要だ。以下、簡潔に記すことにする。(1)推進組織の設立と支持層の拡大、(2)運動の展開と市民の啓発、(3)地域社会への浸透、(4)地域活性化への貢献、(5)地域の店(商業施設)によるフェアトレード産品の幅広い提供、(6)自治体によるフェアトレードの支持と普及となっている。

上記の6基準の中の4つ目の基準を、日本で設けた日本流のものに変換され、単なる地域活性化という言葉を補うようなものになっている。すなわち、地場の生産者や店舗、産業の活性化を含め、地域の経済や社会の活力が増し、絆が強まるよう、地産地消やまちづくり、地域活動、障害者支援などのコミュニティ活動と連携している、としている。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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