記事のポイント
- 世界ではいま、「反DEI」の動きが広がりつつある
- 一方で、DEIを経営基盤として進化させている企業もある
- DEIを「数字で測る仕組み」が、持続的な成長エンジンとなる
■DEIが組織を強くする(2)
世界ではいま、「反DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)」の動きが広がりつつある。一方で、DEIの本質的な価値を理解する企業は、それをガバナンスや人材戦略、組織文化に再統合する形で推進を続けている。マッキンゼーの調査によると、経営陣における女性比率が上位25%の企業は、下位層に比べて収益性が39%高いという。(ダイバーシティ推進コンサルタント・前田京子)

米国では、政治的対立や「逆差別」への反発を背景に、大学入試でのアファーマティブ・アクション廃止(2023年)や、企業におけるDEI部門の見直しが進む。しかし、DEIの理念を経営の中核に据え直す企業も少なくない。
理念から戦略へ――。DEIはもはや「善意の施策」ではなく、企業の持続可能性を支える経営基盤へと変化している。
近年は用語面での工夫も見られる。米国の一部企業では、社会的反発を避けるため、「DEI」に代えて「ビロンギング(帰属感)」や「インクルーシブカルチャー(包摂文化)」といった表現を用いる動きも出ている。
また、米国連邦政府では大統領令(EO 14035)により、アクセシビリティを含む「DEIA」という言葉が使われている。
「DEI」という言葉は変化しながらも、その理念と目的はより広く、柔軟に進化している。
■多様性のある企業は収益性が39%高い
■インクルージョン体験が定着のカギに

