■「生態系農業」を提唱
GM作物をめぐっては、食品としての安全性が長年論争の的となっている。開発企業は「人間や環境にとって安全でないとの事実は認められていない」などと主張。これに対してレポートは「GM食品の安全性に関する合意は存在しない」「GM作物の毒性は環境を脅かす」と反論している。
WHO(世界保健機関)はウェブサイトで「世界市場に流通するGM食品は安全性評価が行われ、健康への影響は認められていない」と説明する。ただしその直前で「GM食品の安全性はケースバイケースで評価すべきであり、全てのGM食品についての一般的な見解を出すことは不可能」と記述。コーデックス(国際食品規格委員会)の原則にもとづく継続的な安全性評価が必要、とした。
レポートではこの他、GM作物の栽培で「雑草や害虫の処理が楽になる」「農家にとって経済的である」などとする「神話」にも反論。耐性を持った雑草や害虫の出現で農薬使用が増えることに加え、種子の価格が年々上昇しているなどと指摘する。
グリーンピースがレポートで主張する対案は生態系農業の普及だ。スマート育種やマーカー選抜育種といった遺伝子組み換えでないバイオテクノロジーによって、地域に応じて品種改良した作物が得られるとする。
また、GM作物の栽培を導入できるのは大規模農業に限られるが、生態系農業は小規模農家に向いている。また作物や生物の多様性を利用して環境への耐久性や回復力が得られ、作物の持続的な収量と農家の生計安定に貢献できる、としている。