駐輪場管理などを手掛けるアーキエムズ(京都市)はこのほど、自治体の放置自転車管理業務を支援するクラウドサービスの全国展開を始めた。放置自転車の保管、返却および廃棄に関するデータをクラウド(ネットワーク)上に置き、専用のアプリで参照が可能だ。業務の効率化が見込める上、現在使用中のパソコンやタブレット端末が使えるために導入コストも少なくて済むという。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■クラウドでのサービス提供は「国内初」

放置自転車の管理業務では、防犯登録番号ほか個人の特定につながる情報を取り扱う。特にパソコンやネットワークを使って業務を管理する場合には、特別のセキュリティ対策が求められる。従来は、住民からの問い合わせ窓口が1か所に限定される、あるいは専用のサーバや端末が必要となるなど、非効率な業務やコストが発生していた。
一方、クラウドサービス「パーキング・アプリケーションズ」では、回収日時や保管場所、車体番号や外観写真、防犯登録番号といった放置自転車に関するデータをクラウド上で一括管理。専用アプリをインストールした端末からのみデータにアクセスでき、端末にデータが残らないためセキュリティ面での安全性が高い。
また、データを一括管理しているために庁舎や保管所など、どこからでも放置自転車の情報を参照できるため、業務の効率化が図れる。アプリは直感的な操作が可能で、保管所の管理員が高齢者でも簡単にタブレット端末を扱えるという。
アーキエムズでは、サービスを2012年10月から京都市で先行的に導入。同社担当者は「サーバ等にデータベースを置く既存のシステムと比べ、導入コストが低くて済む。クラウドを利用した同種のサービスとしては国内初では」と説明する。
既にサービスを利用している岡山市の他、7月からは新たに東京・府中市でも導入。年内はさらに1自治体での採用が見込まれている。