2017年最初の国連気候変動会議が5月8日~18日の日程でドイツ・ボンで開催されました。2015年のCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)で採択された、地球温暖化防止のための新しい世界の約束「パリ協定」。それを今後、実施していくための詳細ルール作りに関する交渉が国連気候変動会議では進められています。
トランプ政権の姿勢をめぐり注目を集めた今回の会議も、その交渉は堅実に継続され、難航しつつも、一定の前進がみられました。
2つのトピックでの緩やかな前進
COP21で採択されたパリ協定は、気候変動の影響を抑制していくために、世界全体の脱炭素化、つまり、石炭・石油・ガスといった化石燃料に頼らない社会の構築を目指しています。
その大きな目標に向かって国際社会で取組みを進めていくために、今回の会議では以下の2つのことが議論されました。
1つは、パリ協定を実施していくための詳細ルール作りで、これはよく「ルールブック」交渉と呼ばれています。
この「ルールブック」は、2018年12月のCOP24で完成させる予定となっています。
もう1つは、2018年に予定されている「促進的対話(Facilitative Dialogue)」というイベント(後述)に関する協議です。
前者の「ルールブック」交渉は、難航しつつもなんとか前進を見せました。
分野によっては、概念的な議論から各分野の章立てをどうするのか、という議論に移りつつあります。
後者の「促進的対話」については、これがパリ協定にとって重要な機会となること、COP23でそのデザインを作り上げなければならないという認識もほぼ全ての国に共有されたようです。
議題項目にすら上がってなかった2016年のCOP22の段階からすればこれでも大きな進歩です。
ゆっくりと進む「ルールブック」交渉