下草を刈って苗に光を当てる

しかし、雑草に覆い隠されてしまうと苗に光が当たらず、その結果、生育が遅れ、最悪の場合は枯れてしまう。そうさせないため林業では下草刈りが夏のメインの作業になる。人の手によって苗の周囲の雑草や灌木類を刈り取り、苗に光が当たるようにする。

下草刈りは、苗が生長に雑草の背丈より高くなる5年から7年後まで続ける必要がある。この作業をさぼってしまうと、せっかく行った植林作業が無駄になってしまう。森ライの施業地でも、ヒノキの植林はしたものの、その後の下草刈り作業を怠ったため広葉樹林化してしまったフィールドがある。広葉樹林化自体が悪いわけではないが、造ろうとした森にはならなかった。

下草刈りを実施しなかったため蔓性植物に覆われ枯れてしまったヒノキ苗(長野県佐久市)

下草刈りは過酷な労働

話を元に戻すと、木を植えただけでは森にはならない。植えた後、夏に最低5年間は下草刈りという作業を行い、苗を育てていく必要がある。下草刈りは、真夏の炎天下に行うので体力的にとてもつらい作業だ。熱中症はもちろんスズメバチ、アシナガバチなどに刺される危険もある、天候が急変し落雷の危険もある。林業の作業の中でもつらい作業の一つといえる。しかし、この作業なくして森は育たない。大切な作業だ。

つらい作業だが汗を流した成果が目で見てわかるので、やりがいがあると言ってくれる人もいる。また、個人的には、鎌で刈る場合、刈った草の香りがするのが楽しい。サンショウやアブラチャンは、刈ったときにとてもいい香りが漂う。刈った草によって香りの違いを楽しめる。足元に名も知らない草花が咲いているのを見つけることもある。これも鎌を持って叢に入らなければ、体験できないことだ。

 

雑草の中で咲いていたトリアシショウマ(長野県佐久市)

植えた苗を育てるには人手が必要

植林は1回だが、下草刈りは5回から7回は必要になる。「全国植樹祭」でも、植樹祭を開催した都道府県は数年後に皇太子殿下が植えた木のお手入れをなさる「全国育樹祭」が開催されるが、開催時期は秋と決まっている。できれば夏に「全国下草刈り祭」を開催して、下草刈りの必要性もアピールしていただきたいものだ。

森のライフスタイル研究所でも夏に九十九里浜の津波被害にあった海岸林造成地の下草刈りを行わなければならない。一般のボランティアによる作業は手鎌によって行う。刈払機を使えば効率はいいのだが、素人には危険だ。なので広い面積の雑草を刈るには多くの人出が必要だ。ぜひ、皆さんにも活動に参加して森を育てる手助けをしてほしい。

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