
[Sustainablebrands.comから翻訳・転載] 今でも、大学生の頃に建築学科で受けた実習をよく覚えている。2つの建築事務所の特徴の違いを調べる授業だった。一つはビジネスのために事業があり、もう一つは事業のためにビジネスがあるというものだ。つまり、前者は建築業を営むというビジネスをし、後者は建築業にまい進することでそれが結果的にビジネスとして成立している。(翻訳:寺町幸枝)
企業の目的や意義に関わらず、利益を上げられなければ、目的を達成する以前にその企業は生き残れないだろう。
私は「事業ありきのビジネス」を行う企業で働きたくて、ロード・エック・サージェント(Lord Aeck Sargent)という建築事務所に今から20年前に入社した。理由は、ロード・エック・サージェントが事業ありきのビジネスで、リスポンシブデザイン(あらゆる環境に最適化したデザイン)を基本理念とし、環境に配慮した建築に力を入れていたからだ。
建築業界とサステナビリティ
ここ20年で、環境デザインは成熟してきた。経済や環境、社会に対する関心が高まってきた結果、サステナビリティを重視する傾向が高まっている。そして今、ただ何かを「持続可能にする」だけでなく、「再生する(Regenerative)」デザインを行うことで、現状よりも良くしていこうとする動きがある。事業ありきのビジネスを実践する企業の使命と理念は、この流れの中でさらに進化を遂げている。
私たちは、いくつもの革新的な環境に配慮したグリーンな建物をデザインするプロジェクトに関わってきた。例えば、アトランタ動物園の環境保護活動情報センターやサウスフェイスエナジーインスティチュートのエコオフィス、米国南東部で最初のLEEDプラチナムの認証を受けたビル郡そして、全国初のサステナビリティ学校であるアリゾナ州立大学のリングリーホールなどだ。