[Sustainablebrands.comから転載] G☆Local Eco! 第12回
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今春、じゃがいもを入手できずにポテトチップスが生産中止となったニュースを覚えている方は多いであろう。昨年、十勝平野を台風が3つも直撃し、河川の氾濫や落橋、法面の崩壊が起きたことが原因だ。世界的な気候変動により、台風が来ないと言われてきた北海道にも届くようになり、食料供給に甚大な影響を与えることとなった。
いまだ深い爪痕が残っているが、十勝の大地では国内産の3割のじゃがいもや小麦が生産され、砂糖の原料である甜菜(ビート)は45%、豆類は23%に上る。まさに日本の台所というべき十勝平野は、実はTPPが導入された時に壊滅的な影響を受けることが予想されていた。地域の持続可能性を賭けた新しい産業づくりのための事業連携は、この北の大地で静かに確実に進んでいる。
旭川から富良野、帯広、十勝にかけては、個性あるガーデンが点在しているが、個々にPRをやっていても限界がある。そこで、留学経験者の若手5名が声を掛け合い連携し、2008年に「北海道ガーデン街道協議会」を設立した。「北海道ガーデン街道」という名称でガイドブックや回遊チケットを販売し、さらには台湾やタイなどインバウンドに向けた施策も始めた。
協議会メンバーの一人、真鍋庭園の眞鍋憲太郎氏によれば「連携によるプロモーション効果は大きく、それまでの年間2万人だった来客数は4万人―5万人に増えた。何よりも『地域おこしのためならば協力するよ』という声が多くなった」という。
2009年には旧(財)高速道路交流推進財団の地域連携推進事業(観光資源活用トータルプラン)の優秀賞にも選ばれ、3年間の助成金を受けている。当該事業を引き継いだ国土計画協会によれば、「今後とも事業のさらなる磨き上げと連携強化、そして事業の継続性に期待したい」とのことである。