RCFはキリン絆PJ事務局の一員として案件伴走に取り組んできた。キリンと地域、双方と共に様々な調整や推進を支援したが、特に難しいのは地域リーダー人材のコミットを引き出すことだった。
「リーダー候補の方が責任感を感じ『やはり代表はやれない』と言い出してしまったことがありました。聞き出していくと、『自分の抱える事業もある中でどこまで稼働をさいて成果をだせるのか』『複雑な地域の人間関係の中で目立ったことをして大丈夫なのか』という不安をお持ちであることがわかってきました。何度も何度もお目にかかってお話をうかがい、最終的に地域のためにがんばっていこうと腹をくくっていただき、組織を無事立ち上げることができました」(RCF 千田睦)
諦めず地域の方々の背中を押し丁寧に「覚悟」を引き出す熱意が、小さな成果を大きな信頼の輪に押し上げていった。
■「本気の連鎖」こそがヒトの心を動かす
2017年、キリン絆PJ「地域食文化・食産業の復興支援」は、ほぼ全案件の事業期間が終了。この6年間、生産者同士が生き残るため知恵を出し合い、震災前は希薄だった「生産者・地域間連携」が生まれるきっかけにもなった。
例えば絆PJの三陸水産業のリーダーたちを中心に結成された「フィッシャーマンズ・リーグ」、「石巻うまいもの」(宮城県石巻市)に代表されるプロジェクトの法人化など、今後の発展の見込みを含めると挙げればきりがない。それらは「多様な人々・セクターを超えた多様な巻き込み」にキリンがコミットしなければ、生まれることはなかった。
一方で「民間企業による支援」ならではの課題もある。プロジェクトについて今後の継続的な運営フォロー(ヒト、資金含めた)や、地域内外・プロジェクト同士の横連携推進、プロジェクトで開発した商品の販売協力など、キリンに対する継続支援の要望も、地域側からの声としてあがってきている。
多様な「本気」が集まり、熱量が心を動かし、本気の連鎖が新たな価値を生み出す。福島で、このうねりがさらに広がるようサポートを決めたキリン。RCFも絆を繋げ続けていきたい。