プラ汚染のトップ企業にコカ・コーラやネスレ

国際環境NGOグリーンピースをはじめ世界1300以上の団体が参加する「ブレイクフリープラスチック」は10月10日、 42カ国・6大陸で実施した239回の清掃活動で、企業のブランド別にごみを仕分けた結果、最も多く発見されたのは、コカ・コーラ、ペプシコ、ネスレだったと発表した。プラスチック汚染の研究を続けてきた東京農工大の高田秀重教授は「『拡大生産者責任』の視点で見れば、メーカーの責任は無視できない」と指摘する。(オルタナ副編集長=吉田広子)

メキシコの海岸で集まったプラスチックごみ(C)Greenpeace

ブレイクフリープラスチックは、18万7000個以上のプラスチックごみを調査し、世界中の海や河川を汚染する数千の企業を特定した。なかでも、コカ・コーラ社が関連するごみの数がトップで、参加した42カ国のうち40カ国で確認されたという。

10日に開かれた「環境問題に関する市民勉強会」に登壇した高田教授は、「使用後の責任までを考える『拡大生産者責任』の観点で考えると、メーカーはリサイクル費用を負担するなど、製品がごみにならない仕組みを構築する必要があるのではないか」と指摘した。

2042年までに「脱使い捨てプラスチック」を宣言した英国政府は、国家計画のなかで、メーカーの回収責任をより明確にすることを明言している。さらに、ペットボトルごみを減らすために、公共の水飲み場を増設するほか、飲食店の協力のもと、無料で店舗の水道水を利用できる仕組みを構築する予定だ。

高田教授は「プラスチックを燃やせばエネルギーとしてリサイクルされるという『サーマルリサイクル』は、欧州にはない日本独自の考え方で、解決策ではない。ペットボトルを薄くすれば良いという意見もあるが、マイクロプラスチックになりやすく、さらなる海の汚染につながる。根本的な解決には、そもそもの発生抑制が重要だ」と説明する。

さらに、「プラスチック問題は、海の汚染問題だけではなく、温暖化の問題でもある。給水器の設置やシェアできる置きバッグ、量り売りステーションなど、発生抑制のために国や自治体も環境を整備すべき。プラスチック容器をコンポスト(たい肥化)可能な素材に切り替えれば、生ごみと一緒にコンポスト化できるようになる。こうした発生抑制の施策が必要だ」と続けた。

グリーンピースをはじめ各団体はブランド別にごみを集め、調査を行った(C)Branko Vilus/Greenpeace

ブレイクフリープラスチックの調査で、ごみの発見頻度が高かった企業順は次の通り。

コカ・コーラ、ペプシコ、ネスレ、ダノン、モンデリーズ・インターナショナル、プロクター・アンド・ギャンブル、ユニリーバ、ペルフェティ・ファン・メレ、マース・インコーポレイテッド、コルゲート・パルモリヴ、マクドナルド

最も多く見られたプラスチックはポリスチレンで、多くの場所でリサイクルができないという。次に多かったのはポリエチレンテレフラート(PET)で、ボトル、容器、その他の包装に使用される素材だ。

ブレイクフリープラスチックのコーディネーターであるフォン・ヘルナンデス氏は、「リサイクル不可能な使い捨てプラスチック包装を使用した製品を大量生産することで、これらの企業は大規模な環境破壊を行っている。汚染を引き起こす製品への責任を消費者に転嫁するのではなく、自己の責任を認める時だ」とコメントしている。

各地域の調査結果は次の通り。

アジアの汚染企業トップ3:コカ・コーラ、ペルフェティ・ファン・メレ、モンデリーズ・インターナショナル(3社で全体の30%)

北米・南米の汚染企業トップ3:コカ・コーラ、ペプシコ、ネスレ(3社の全体に対する割合は北米が64%で南米が70%)

ヨーロッパの汚染企業トップ3:コカ・コーラ、ペプシコ、ネスレ(3社で全体の45%)

オーストラリアの汚染企業トップ3:セブンイレブン、コカ・コーラ、マクドナルド(3社で全体の82%)

アフリカの汚染企業トップ3:ASASグループ、コカ・コーラ、プロクター・アンド・ギャンブル(3社で全体の74%)

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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