SDGs対応をどう評価するか(千葉直紀)

「SDGs×地域×評価」特別セミナー

明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科は12月1日、特別セミナー「SDGs×地域×評価 評価を活用した地域コミュニティにおけるSDGs達成に向けた効果的な実践とは」が明治大学で開いた。当初の想定人数を大幅に上回る250人以上が集まり、本テーマの注目度の高さが伺えた。本稿では、「SDGs×地域×評価」セミナーで紹介された内容に触れつつ、SDGs文脈で評価が必要な理由や、これをどう行なっていけばよいのかについて、デボラ・ラグ博士の話を受けての考察を交えながら紹介したい。(CSOネットワーク インパクト・マネジメント・ラボ 千葉直紀)

本セミナーには、ゲストスピーカーとして米国のSDGsに関する評価の第一人者であるデボラ・ラグ博士(Dr. Deborah Rugg)が招かれた。彼女はクレアモント大学院大学教授・クレアモント評価センター・ニューヨーク センター長の肩書きを持っており、国連評価グループ長・2030 アジェンダ最終交渉時には、国連事務局シニア評価アドバイザーを務めた経歴がある。

ラグ博士は、SDGsの基本理念を丁寧に説明した上で、地域コミュニティで求められる「SDG-対応型評価」について紹介した。

ゲストスピーカーとして登壇したデボラ・ラグ博士

1. SDGsの3つの特徴
SDGsについての詳細説明は割愛するが、ラグ博士はSDGsの策定について次の3つの特徴を紹介した。
(1)かつてないほどの高い支持(2015年9月、国連にて193カ国の首脳が全会一致にて可決)
(2)かつてないほどの幅広い範囲(17の目標、169のターゲット、232の指標)
(3)かつてないほどの評価の役割(国主導の評価と国の評価能力構築に対する全会一致の支援表明)

特徴(1)と(2)はSDGsの紹介で日本国内でもよく伝えられている有名であるが、見るべきは特徴(3)である。ステートメントSDGsが含まれている国連文書「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に「フォローアップとレビューのプロセスは、自主的で国主導であり、多様な国の現実、能力、開発レベルを考慮し、政策空間と優先事項を尊重するものである」と書かれている通り、国連はプラットホーム提供などの後方支援に徹して、実行は各国に委ねられることになる。

つまり各国は自国の課題解決を行いながらSDGsに貢献していくために、主体的にオーナーシップをもって評価能力を構築していくことが必要なのである。

2.なぜ、SDGsで「評価」が求められるのか
SDGsは、これまでの開発目標(MDGs)よりも高度で複雑であり、複雑系システムの性質を反映しており、相互にリンクしている。このようなSDGsの特徴(2)にある「目標」、「ターゲット」、「指標」は、参加国の合意形成プロセスを大切にしながら開発された。これによって各国の説明責任を明確にしている。しかし、これらのターゲットと指標の説明責任には「モニタリング」にとどまらない「評価」こそが必要である。

なぜならば、指標をモニターした数字はただの結果であり、「なぜこのような値になっているか、という理由」や「それらの数字を生み出す背景」などには答えてくれないからである。どうすれば、自分たちの取り組みやプログラムを良いものにしていけるか、という「評価」の機能こそが必要である。

「事業/プログラムの評価」と「指標のモニタリング」、「業績測定」は混乱されるかもしれないが、全く別物である。SDGsでは達成するべき「指標」が示されているが、これは数値を追い続けるものでもなければ、外部から粗探しのように監査されることでもない。「評価(evaluation)」の語源である「価値を引き出すこと(ex+value)」の通り、「評価」は対象の事業/プログラムの価値を引き出してそれを高めていく主体的なプロセスであり、過去とともに現在・未来に焦点を当てることが必要なのである。SDGsはご存知の通り世界的・社会的ニーズに答えるためのアウトサイドイン・アプローチであるが、各国における事業/プログラム課題解決の取り組みの価値は「自分たちで」見出していくことが求められるのである。

3.「SDG-対応型評価」のはじめの一歩

editor

オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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