小児がん闘病1000日に寄り添うアヒル型ロボット

アフラック生命保険は5月22日、小児がん患者のために開発したアヒル型ロボット「My Special Aflac Duck」(私の特別なアフラック・ダック/MSAD)5台を日本大学医学部附属板橋病院に贈呈した。小児がんの闘病は平均1000日かかるとされ、子どもたちに寄り添うパートナーとして米国アフラックと米ロボットベンチャーが開発した。子どもたちはタッチセンサーを内蔵したMSADを通じて、「楽しい」や「いやだ」といった感情を伝えることができる。(オルタナ副編集長=吉田広子)

感情に合わせて鳴き声が変わるアヒル型ロボット

日本では、毎年約2500人の子どもたちが小児がんと診断されている。日本大学医学部附属板橋病院には現在、約20人の子どもたちが入院している。1年ほど入院した後、2年ほど通院を続けることが多いという。

MSADは子どもの腕に収まるサイズのアヒル型ロボット。タッチセンサーを内蔵し、「楽しい」「気持ち悪い」「いやだ」といった感情を表す絵文字チップをかざすと、アヒルの鳴き声が感情に合わせて変わる。子どもたちはMSADを使って自分の気持ちを医療関係者や家族に知らせることができる。

「いろいろな感情や鳴き声があって楽しい」と話すのは小学2年生のみさきちゃん。治療中は自分の気持ちを伝えるのが難しいこともあるという。小学6年生のかいざねくんも「アヒルなのに、馬の鳴き声に変わって面白い」と嬉しそうだ。

絵文字チップをかざしながら、鳴き声の変化を楽しむ子どもたち。感情は7種類ある

MSADは、子どもたちや医師、チャイルドケアの専門家らと開発。子どもたちの心臓の音をMSADに移すこともでき、アヒルが自分の分身のような存在になる。治療に使う医療器具を模したおもちゃも付いており、患部と同じ場所にくっつけることもできる。

米国ではすでに小児がん患者に約3000台を無償提供し、年内に1万台の配布を目指す。日本でも300台を無償提供する予定だ。

米国アフラックのダニエルP.エイモスCEOは、「私の孫も皆さんと同じくらいの年。治療を頑張っている子どもたちみんなにアフラック・ダックを届けていきたい」と話した。

MSADは、2018年にラスベガスで開催された世界最大級の家電・IT見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」に出品され、「Tech for a Better World Award」を受賞している。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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