国連環境計画は10月20日、名古屋市の生物多様性会議で、「生態系と生物多様性の経済学(TEEB)」の最終報告書を発表した。その試算によると、生物多様性が失われると世界の貧困層ほど打撃を受け、何の対策も取らなければ世界の損失は最大で年4・5兆ドル(約370兆円)にもなるという。
報告書によると、森林破壊の速度を2030年までに半減させれば、そうでない場合に比べて全地球規模で1年当たりの温室効果ガス排出を相当規模削減でき、気候変動による損害を3・7兆ドル(約300兆円)防止できるとした。
報告書では、生態系の破壊による世界の損失は、何もしなかった場合に年2兆~4・5兆ドルに上るという。保全策として、450億ドルを投じれば年5兆ドル相当の利益が得られると試算した。(オルタナ編集部=石井孝明)10月21日