■素早い動き
ニューヨークタイムズが報じたところ(注3)によると、すでにカリフォルニア、オレゴン、ワシントン、アイオワ、コロラド、ニューヨークの各州は、この規制に対して訴訟を起こす構えで、この規制を阻止する行動に出たという。
しかし一方で、現状では30日以内にこのルールは施行される見込み。オバマ政権が制定したCPPは、28州および、数百社から差し止めを求めた提訴をきっかけに、最高裁により2016年から施行停止状態だった。
エネルギー業界では、新ルールは好意的に受け止められている。米国の鉱山労働者組合のスポークスマンであるフィル・スミス氏は、「新ルールによって鉱山地域で多くの仕事が守られる」と話し、現政権が石炭業界をすぐになくすことなく、排出量を減らす方向で動いていることを評価する発言をしている。
トランプ政権は、CPPは費用がかかりすぎる規制だと批判し、「(CPPの下では)全米40の州で、電気代は二桁増加する可能性があり、米国の低・中所得者はそれに耐えることはできない」と理由付け、今回新しいルールを設けた背景もあり、今後環境対策に対する考えは、一市民レベルでも、米国内でより二極化していきそうだ。
注1:https://rhg.com/research/preliminary-us-emissions-estimates-for-2018/
注2:https://www.nytimes.com/2018/08/21/climate/epa-coal-pollution-deaths.html
注3:https://www.nytimes.com/2019/06/19/climate/epa-coal-emissions.html