■社内外の空気変わってきた
三菱地所グループが最初に保育施設を誘致したのは、2005年に遡る。少子化対策の一環で、企業の子育て支援を促す法整備が行われるなか、「仕事と育児の両立」を目指し「東京ビル」内に託児所を誘致。月ぎめ保育だけでなく一時預かりサービスも提供するものだった。
三菱地所 街ブランド推進部の佐川素子主事によれば、オフィス街である丸の内に保育施設を誘致することについて、当時社内でもリスクを懸念する声があり調整に難航した面もあったという。
「その後、女性の働き方についての社会的な認識や、企業が育児をバックアップすることの認識も進んだことで、社内のマインドも変化してきた。今ではむしろこうした取り組みを積極的に推進するように空気が変わってきている」(佐川主事)
同社が丸の内エリアで誘致した4カ所の保育所は順調に運営を続けており、2018年4月には新国際ビルにコトフィスが開所。またワーキングエリアは併設されていない企業主導型保育施設「コトフィス山王パークタワー」も同時に開所している。
今後他地域での展開も検討しており、20カ所ほどで保育所開所の計画があるという。「保育所事業のみで利益を上げることが目的ではない。街の価値をあげるための一環として、事業を進めていきたい」(須田氏)