論説コラム:難民問題、目からウロコの新アプローチ

難民は厄介者ではない。ユダヤ人でナチスの迫害を逃れて米国に渡ったアインシュタイン、ロシア生まれで日本のプロ野球で活躍したスタルヒン。ユダヤ人でナチス占領下のチェコスロバキアから英国、その後米国に逃れたオルブライト元国務長官。サッカーのハリルホジッチ監督は内戦のボスニア・ヘルツェゴヴィナからフランスに逃れた難民である。難民は行く先の社会に大いに貢献するのである。

難民の望むのは認定難民という一枚の紙きれではない。自由に学び働く、人間としてごく当たり前の権利だ。そして、それは日本の地域、NPO、企業の協力があれば可能なのだ。

カナダのTalent Beyond Boundaryという団体は難民キャンプにいる人たちをカナダやオーストラリアの企業に紹介している。日本でもモンスターラボのようにパレスチナやシリア難民の雇用を考える企業も出始めている。時代は変わっている。ウェルジーのメンバーには経済界が文科省に協力して新しく始めた留学制度トビタテ留学JAPANの経験者が多い。新鮮な発想の芽を伸ばしたいものである。(完)

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原田 勝広(オルタナ論説委員)

日本経済新聞記者・編集委員として活躍。大企業の不正をスクープし、企業の社会的責任の重要性を訴えたことで日本新聞協会賞を受賞。サンパウロ特派員、ニューヨーク駐在を経て明治学院大学教授に就任。専門は国連、 ESG・SDGs論。NPO・NGO論。現在、湘南医療大学で教鞭をとる。著書は『国連機関でグローバルに生きる』など多数。執筆記事一覧

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