書評:なぜフランスで「#MeToo 」への反対が起きたのか

書評:『フランス人の性 なぜ「#MeToo」への反対が起きたのか』(光文社新書)
著者:プラド 夏樹

「キリスト教が『色気ある社会』を作った」「不倫は『いけないこと』ではない」「セックスレスは別れる理由」――。目次には、刺激的な見出しが並ぶ。これを見ただけで、フランス社会に興味がわくだろう。大統領が不倫をしても、大統領の評判には影響しない。仕事さえきちんとしていれば私生活には干渉しないという国民性なのだ。30年以上フランスに住むジャーナリスト・プラド夏樹さんが、歴史や文化的背景、また自身の経験や見聞によりフランス社会における性の位置付けについて解説している。(ハノーファー=田口 理穂)

『フランス人の性 なぜ「#MeToo」への反対が起きたのか』(光文社新書)

恋愛至上主義でおしゃれな印象のあるフランスでは、 カップルである期間は平均13年だが、その間は愛情をベースとした関係を築いているようだ。

セックスレスが日本では夫婦が別れる理由にはならないが、フランスでは深刻な事態となる。日本のように仮面夫婦や何十年にも及ぶ長期不倫は、フランスではごく少ない。一緒にいて幸せになれないパートナーとは別れ、自分の幸せを追求するのは、悪いことではないのだ。それでも2017年の合計特殊出生率 1.88人と、日本の1.43人よりも多いのは、結婚していなくても子どもを産み育てやすい社会環境が整っているからだろう。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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