実は解決していなかったフロン問題(1)

皆さんは「フロン問題はすでに解決した。過去の問題である」と思っていないでしょうか。 しかし、実際には、現在もフロン問題は解決していないのです。この状況を打破するため、2019年5月、国は、罰則を強化するためにフロン排出抑制法を改正し、来年4月から施行される予定です。つまり、フロン問題は「すでに解決している過去の問題」ではなく、「現在進行形の国が注力している問題」なのです。(弁護士・香川 希理)

2020年4月施行予定のフロン排出抑制法改正に対応するために、まずは、フロン問題の歴史と現在の状況を把握しておきましょう。

(1)すでに解決している過去の「フロン問題」

1928年に開発された「フロン」は、それ以後、冷蔵庫やエアコンの冷媒、スプレーガスなど、様々な用途で使われ、人々の生活に大変役立ってきました。

しかし、1970年代、当時使われていた「特定フロン」が、有害な紫外線から私たちを守ってくれるオゾン層を破壊する効果を有することが判明しました。そしてオゾン層が破壊されると、地球に到達する紫外線量が増加し、その結果として、白内障や皮膚がんのリスクが高まるなどの人体に対する影響があることもわかったのです。

そのため、「特定フロン」対策は世界的な大問題となり、1985年にはウィーン条約が、1987年にはモントリオール議定書が、それぞれ採択されました。

「特定フロン」対策は国際的に進むとともに、日本においても、オゾン層を破壊する「特定フロン」からオゾン層を破壊しない「代替フロン」への切り替えが急速に進みました。その結果、「特定フロン」対策は確かにある程度は解決したのです。

(2)現在進行形の国が注力している「フロン問題」

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香川 希理

2006年明治大学法学部卒業、2009年立教大学大学院法務研究科卒業、同年司法試験合格、同年最高裁判所司法研修所入所、2010年弁護士登録(東京弁護士会)、2013年香川総合法律事務所設立、現在同事務所代表弁護士。企業法務(特にコンプライアンス関係、不動産関係)を専門とし、上場企業をはじめ多種多様な企業の顧問をしている。主な著書に「トラブル事例でわかる マンション管理の法律実務」(学陽書房)などがある。

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