なぜ資生堂は「文化」を重視するか(中畑 陽一)

前回、社史が企業活動の社会的文脈を裏付けるキーになることと、特にパーパスや理念といった価値創造のゴールを伝えるために極めて重要なものとなり得ることをお伝えいたしました。今回は、今年1月に社会価値創造本部を設置し、創業150年を前にグローバルに価値創造し続ける資生堂にスポットを当て、その社史や歴史からDNAを紐解いてみたいと思います。というのも、資生堂が「営利目的を超越するパーパスを持っている」、「社史が果たしている役割が大きい」、そして「文化重視の経営を貫いている」特筆すべき企業だと思われるからです。

資生堂は、女性役員比率が45%と突出し、国連と連携した女性のエンパワーメント活動、気候変動の影響を開示するためのTCFDにも賛同を表明、容器の脱プラスチックへの取り組みも進めるなど、100年先を見据えて先進的な経営をしています。また、WEB開示のCSR情報を見る限りでは、課題であった美容職の働きやすさも改善しつつあるようです。このように社会価値と経済価値を調和させようと取り組む経営姿勢の源はどこにあるのでしょうか。

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中畑 陽一(オルタナ総研フェロー)

静岡県立大学国際関係学部在学時、イギリス留学で地域性・日常性の重要性に気づき、卒業後地元の飛騨高山でタウン誌編集や地域活性化活動等に従事。その後、デジタルハリウッド大学院に通う傍らNPO法人BeGood Cafeやgreenz.jpなどの活動に関わり、資本主義経済の課題を認識。上場企業向け情報開示支援専門の宝印刷株式会社でIR及びCSRディレクターを務め関東・東海地方中心に約70の企業の情報開示支援を行う。その後、中京地区での企業の価値創造の記録としての社史編集業務を経て、現在は太平洋工業株式会社経営企画部にてサステナビリティ経営を推進。中部SDGs推進センター・シニアプロデューサー。

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