メガバンクにSDGsとパリ協定迫る「責任銀行原則」

■融資先企業をチェック・監視する責任も

この「責任銀行原則」は邦銀にどんな影響を与えるのだろうか。国際NGOの350.org Japanの古野真シニア・リージョナル・キャンペナーは「各行の化石燃料に対する投融資が厳しく問われる」という。

日本の3大メガバンクの化石燃料関連企業への投融資は、世界でもトップクラスだ。石炭火力発電など大量のCO2を排出するセクターに膨大な資金提供を国内外で行っている。

6つの原則の第1にあるSDGsやパリ協定との整合性を考えれば、炭素排出量が大きい石炭火力発電の新規の融資事業では「1.5度はもちろん、2度未満に気温上昇を抑えるとの目標にも整合しない」(古野氏)。

日本の3大メガバンクは、今後、化石燃料、特に石炭火力発電への新規投融資だけでなく、投融資引き揚げの検討も迫られそうだ。

古野氏は「銀行が投融資元として、投融資先の企業がSDGsに沿った事業活動を行っているのかをチェックして監視するという考え方が強まるのではないか」と予測する。

この原則は、第三者が十分評価できるために詳しく広範囲に金融機関が情報開示しないと、表面的な取り組みに終わる。「いわゆる『グリーン・ウォッシュ』にならないためには、今後、銀行の透明性がさらに求められる」と古野氏は指摘する。

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高馬 卓史

1964年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。総合情報誌『選択』編集長を経て、独立。現在は、CSR、ソーシャルビジネス、コミュニティ・デザインなどをフォロー中。執筆記事一覧

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