国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは10月1日、「東電福島第一原発の汚染水に関する意識調査」の結果を発表した。海洋放出については「回答者の50.8%が反対で、11.7%が賛成」だった。福島県で反対した人の52.9%が、最大の理由として県内漁業への悪影響を挙げた。また、今回の回答者3000人の7割以上が、処理済みの汚染水にトリチウムなど放射性物質が残留していることを知らなかった。(海洋ジャーナリスト/オルタナ編集委員=瀬戸内千代)

調査はオンラインアンケートで、同NGOが委託した楽天インサイトが、9月19日から24日まで実施した。
対象は福島県1000人、東京電力の原子力発電所が7基ある新潟県1000人、両県を含む全国1000人。会社員が約4割を占める18~81歳の計3000人である。
調査の結果、全国の60.9%が、増え続ける汚染水の問題を知っていた。一方で、トリチウムが取り除かれないことは全国の68.2%が、「処理水」にストロンチウム90やヨウ素129が残留していたことは全国の76.7%が、全く、あるいはほとんど知らなかった。
東電はタンクを増設しても2022年の夏頃に満杯になると訴えるが、全国の52%が処分方法は「わからない」と答え、「海洋放出」を選んだ10.8%より多い11.6%が「当面は陸上保管」を選んだ。
「トリチウムは取り除くべき」と回答したのは、新潟県52.8%、全国55.2%で、地元・福島県の60.8%が最も多かった。
また、福島県の43.3%が「海洋放出に反対」と答え、一番の理由として過半数(52.9%)が「福島県の漁業へ悪影響を与えると思うから」を選んだ。
トリチウムの半減期は約12年、ストロンチウム90は約29年、ヨウ素129は1570万年である。
東電はトリチウム以外の核種は除去する方針だが、度重なる汚染水漏れの未報告などで、復興を目指す福島県の漁業者を失望させてきた過去がある。
グリーンピース・ジャパンは、「コストはかかるが、海外ではトリチウムを除去する技術が実用化されている」として、汚染水処理対策委員会の委員長に、処理水の長期保管やトリチウム除去を求める署名活動を展開している。