私たちに身近な生物多様性(34) [坂本 優]
2年ほど前、テレビなどでも大きく取り上げられ、その危険性が報道喧伝された、南米原産で世界各地に広がっている特定外来生物、ヒアリについて、水際での調査防除等は、現在も継続して地道に行われている。
先月(2019年9月)、東京港青海埠頭と千葉県船橋市で相次いでヒアリが確認された。いずれも局所的・限定的なものではあるが、東京港の青海埠頭の事例は、営巣繁殖していた事例であり、船橋の事例(台湾高雄港からのコンテナ内から3匹発見駆除)とは質的に異なるものだった。
青海埠頭の事例は、コンテナヤードの舗装の継ぎ目で約20匹が目視され、継ぎ目の土砂を掘り起こしながら確認した個体を殺虫、周辺に殺虫剤を散布したもので、最終的には働きアリ500個体、有翅女王アリ1個体、その他蛹、幼虫、卵などが発見駆除されている、とのことだ。
ヒアリは、新たに分布を広げた北米や中国では侵入地の在来アリに、時に壊滅的ともいえる影響を与え、また噛まれることなどによる人間への健康被害も報告されている。