SDGs(持続可能な開発目標)に貢献できる気軽な取り組みとして、社員食堂で「サステナブル・シーフード」(持続可能な水産物)を導入する企業が増えている。花王は9月から、本社の社員食堂で「MSC認証」または「ASC認証」を取得した水産物を使ったランチメニューを開始した。2018年3月からサステナブル・シーフードを導入しているパナソニックは、国内食堂の過半数にあたる50拠点以上で展開している。(オルタナ編集部=吉田広子、山口勉、長濱慎)

パナソニックの社員食堂で
他社に先駆けてサステナブル・シーフードの導入を進めてきたパナソニック

サステナブル・シーフードは、大きく「天然」と「養殖」に分けられる。水産資源と環境に配慮した漁業で獲られた天然の水産物の証がMSCラベルで、その養殖版がASCラベルだ。

SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」では、「海と生態系を保全し、持続可能な海洋資源の利用を促進すること」が掲げられている。MSC・ASC認証を取得した水産物を食べることで、SDGsにも貢献できる。

花王は、社員が世界の水産資源の枯渇に対する危機感を認識し、行動するきっかけとしてサステナブル・シーフードの導入を決定した。月に2回、サステナブル・シーフードメニューを提供する。本社以外の各事業所での導入も検討していく。

パナソニックは2018年3月、MSC及びASC認証を取得したサステナブル・シーフードを社員食堂に導入。これは企業が社員食堂で継続的に提供するものとしては国内初の取り組みだった。

サステナブル・シーフードを使ったパナソニックの社食
サステナブル・シーフードを使ったパナソニックの社食

当初は本社を含む2拠点のみだったが、2021年3月には、累計導入拠点数が国内食堂の約半数である51拠点まで増えた。

社員食堂ではサステナブル・シーフードを使ったメニューを人気メニューにするために工夫を重ねているという。興味や関心を持ってもらうために、味だけでなく、見た目も美味しそうで、健康にもよさそうだと思ってもらえるように、意識してメニューを開発している。

その甲斐あってサステナブル・シーフードのメニューは美味しいと評判で、用意しているサステナブル・シーフードメニューは完売することがほとんどだという。

デンソーは、身近な「食」という切り口からサステナビリティを理解してもらおうと、サステナブル・シーフードの導入に踏み切った。2019年3月にメニューの提供を始め、取り組みは全国10事業所に広がっている。これまで北海道産のホタテ、エビ、カツオなどの食材を使ってきた。

まだ3割程度という社内の認知度を高めるため、担当調理師はメニューの見た目や盛り付けに知恵を絞る。例えば、ASC認証を取得したエビを使ったかき揚げ丼では、エビが上に目立つよう揚げ方を工夫した。こうした取り組みの結果、サステナブル・シーフードメニューをオーダーする社員が徐々に増えているという。