今年6月5日に改正フロン排出抑制法が公布され、来年4月に同改正法は施行される予定です。そして同改正法において、管理者らに対するフロンの管理義務などの規制が強化されることから、日に日にフロン問題に対する関心が高まってきています。しかしながら、フロン問題に関する規制強化は今回が初めてではありません。これまでもフロン問題に関しては、国際的にも国内的にも規制の強化が繰り返されてきました。(弁護士・香川 希理)
そこで、来年4月施行予定の改正フロン排出抑制法をより正しく理解するために、フロン問題に関するこれまでの国際的動向を確認しておきましょう。
(1) Mop(1987年 モントリオール議定書採択)
20世紀最大の発明の一つと言われるフロンであるCFC(クロロフルオロカーボン)が発明され、それまで世界中で有毒な冷媒を使っていた冷凍空調機器は大きな進歩を遂げました。
また、CFCはその特性から洗浄剤として製造現場などで大量に消費されていました。CFCとHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)は、世界中で様々な用途に用いられてきました。
ところが、1974年頃に初めてローランド教授によるオゾン層の破壊のメカニズムが発見され、1987年にオゾン層を破壊する塩素を含む冷媒フロン類である、特定フロン(CFC、HCFC)を削減するモントリオール議定書が採択されました。
このような、国際的な動向により、国内では1988年にオゾン層保護法が成立しました。そしてCFCは先進国で1996年に全廃、HCFCも段階的削減を経て2020年に先進国で全廃となりました。
(2) Cop(1997年 京都議定書採択)