休眠預金30億円、その活用方法は?

■22団体・24事業に30億円を助成

図1=休眠預金活用の流れ 2019年度事業計画・収支予算のポイント(JANPIA)、休眠預金等活用法の概要(預金保険機構)など各種資料を基に編集部作成 ※クリックするとPDFが開きます

では、休眠預金はどのように民間公益活動に使われるのか。

図1にあるように、まずは各金融機関から預金保険機構に休眠預金が移管金として納付され、次に内閣総理大臣によって指定された指定活用団体・日本民間公益活動連携機構(東京・千代田/JANPIA)に移管される。

JANPIAは日本経済団体連合会(経団連)が2018年7月に設立した組織で、損保ジャパン日本興亜の二宮雅也取締役会長が理事長を務めている。

JANPIAは内閣府に事業計画を申請し、認可されると、助成事業費およびJANPIAの活動経費が預金保険機構から交付される。2019年9月にはJANPIA自体の活動経費約7.4億円(2018年度0.5億円、2019年度6.9億円)と助成金の一部を合わせた21.4億円が交付された。

図2=2019年度資金分配団体一覧 2019年度 資金分配団体の公募結果(JANPIA)を基に編集部作成 ※クリックするとPDFが開きます

その後、中間支援組織としての役割を担う資金分配団体に助成される。2019年度は、中央共同募金会(東京・千代田)や日本対がん協会(東京・中央)、ジャパン・プラットフォーム(東京・千代田)など22団体(24事業)が資金分配団体に選ばれた(図2参照)。

助成総額は、約29.8億円(事業費21.6億円、基盤強化支援費用8.2億円/最長3年間)に上る。

さらに、資金分配団体は2019年12月から2020年1月にかけて、実際に民間公益活動を行う実行団体を公募・審査し、2020年3月末までに選定する予定だ。決定後、助成プログラムが開始する。

■プログラム・オフィサーが支援や評価

PO育成研修に参加したプログラム・オフィサーたち

この助成プログラムを支援したり、管理や評価をしたりするのがプログラム・オフィサー(PO)だ。

資金分配団体は、実行団体に助成するほか、経営・人材支援といった非資金的支援を伴走型で提供することになっている。プログラム・オフィサーはこの役割を担い、JANPIAはプログラム・オフィサーに対し、研修支援や人件費・活動費の助成を行う。加えて、事業成果の見える化や組織基盤を強化するため、調査費なども助成する。

これらが図2で示した「PO関連経費」「評価関連経費」に当たる。

例えば、社会起業家支援などを行うエティック(東京・渋谷)には、助成金として2億円、PO関連費として約2800万円、評価関連費として1850万円が3年間で助成される。

12月にJANPIAが実施したPO育成研修の5日目には、資金分配団体やその提携先からプログラム・オフィサー46人が参加。「プログラム・オフィサー」のリーダーシップをテーマにセッションが開かれ、「実行団体の可能性を引き出すのがPOの価値」「制度に血を通わせるために、魂を入れなければ」「PO同士のネットワークを構築し、伴走支援がどうアウトプットにつながったのか、互いに共有できるのではないか」といった意見が交わされた。

参加者は5日間の研修を通じてプログラム・オフィサーの役割、「社会的インパクト評価」をどう実行するか、ファンドレイジングの基礎などを学んだ。

講師を務めた日本ファンドレイジング協会(東京・港)の鵜尾雅隆代表理事は「プログラム・オフィサーそのものが、重要な可能性と価値を持っている。休眠預金活用を通じて全国的なつながりと変化を生み出せれば」と締めくくった。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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