変化が必要な現在、社史は価値創造へ(中畑 陽一)

これからの社史の価値

昨今では、老舗企業の倒産が加速していますが、M&Aも増えています。そのM&Aの成功の鍵となるのが企業文化の融合です。

事業継承時にもまた同じように、企業文化を伝えるツールが重要です。さらに、昨今のコーポレート・ガバナンス強化の流れによる社外取締役の増加を鑑みると、新任の社外取締役に長期的視野で自社のDNAを踏まえてガバナンスを利かせてもらうためにも社史は重要なツールになるでしょう。

今後AIの高度化により仮に人間のコピーが人間の能力の全てを代替してしまったとして、人間に最後に残される人間らしさが「価値観」となるとすると、企業の主体である人間が、その価値観を刻み込むのが社史であり、人間の証となるに違いないと感じています。

その意味では、単なる出来事の記録ではなく、だれがなぜ、どんな想いで決断を下したのか、それをどう評価するのか、そういった「熱」を社史に残していく必要があるのではないでしょうか。(歴史の記録だけであれば、AIなどで自働化できる時代が来そうです)

社会の持続性、会社の持続性、そしてその向こうにある人間の存在意義を刻むための歴史を創る、そういった気概と視野をもちながら、社史自体が進化していくべき時代に入っているのではないでしょうか。そこには、無限の可能性を感じます。

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中畑 陽一(オルタナ総研フェロー)

静岡県立大学国際関係学部在学時、イギリス留学で地域性・日常性の重要性に気づき、卒業後地元の飛騨高山でタウン誌編集や地域活性化活動等に従事。その後、デジタルハリウッド大学院に通う傍らNPO法人BeGood Cafeやgreenz.jpなどの活動に関わり、資本主義経済の課題を認識。上場企業向け情報開示支援専門の宝印刷株式会社でIR及びCSRディレクターを務め関東・東海地方中心に約70の企業の情報開示支援を行う。その後、中京地区での企業の価値創造の記録としての社史編集業務を経て、現在は太平洋工業株式会社経営企画部にてサステナビリティ経営を推進。中部SDGs推進センター・シニアプロデューサー。

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