オーストラリア東南海岸の森林火災発生から約4カ月が経った。依然として鎮火の様子は見られず、被害は拡大している。火災をめぐっては、国内外で同国政府の方針がやり玉に挙がっている。未曾有の惨事への対応の緩慢さにはじまった批判は、森林火災との関連性が指摘される気候変動政策の甘さにも及んでいる。経済発展を優先するがために、石炭産業を奨励するオーストラリアの姿勢に疑問の声が集中している。(NZニュープリマス=クローディアー真理)

オーストラリアでは毎年夏に森林火災に見舞われるが、今夏は例年より早く、9月から火災が頻発するようになった。日刊紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」によれば、7日現在で焼失面積は合計約600万ヘクタール。関東一都六県と山梨県、福島県を合わせた広さ以上にも拡大している。
昨年アマゾンで起こった熱帯雨林火災と、カリフォルニア州で起こった森林火災を合わせても、オーストラリア消失面積には至らないそうだ。死者は25人で、消失家屋は約2000棟。経済損出は20憶Aドル(約1500憶円)に上り、今後さらに膨れ上がるものと予想されている。
■モリソン首相の言動に集まる非難
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