水道水を飲もう――水道水が見直される裏事情とは?

浄水時に添加されるカルキ(塩素)の臭いなどのため、これまで「まずい水」の代名詞とされてきた水道水。しかし最近では環境負荷が低い上に価格も安く、水の「地産地消」につながる点が評価され、ファンが少しずつ増えてきた。水道水が見直される裏には、どんな事情があるのか。

■脱・使い捨て目指す「水do(スイ・ドゥ)!」

「水道水でいこう」と積極利用を呼びかけるのは、NPOのFoE Japanが今年6月から始めた「水do(スイ・ドゥ)!」キャンペーンだ。

【図】「水・do(スイ・ドゥ)!」キャンペーンのロゴ(提供:FoE Japan)

ペットボトル飲料は容器の製造や回収、再生に加え、輸送や冷蔵販売などの一連の流通過程の中で多くの資源やエネルギーを消費する。東京大学の平尾研究室の試算によれば、例えば500ミリリットルの飲料水を利用する際のCO2の排出量を比較した場合、浄水した水道水をアルミの水筒に入れて飲んだ時が7グラムなのに比べ、ペットボトル詰めの輸入ミネラルウォーターでは339グラムで、水道水の実に50倍近くに達する。加えて、流通やリサイクルのシステムを維持するのに必要な社会的コストも無視できない。

1995年に施行された容器包装リサイクル法はペットボトル容器のリサイクルを促進したが、同法により自治体は容器の収集・選別・保管を担うことが義務付けられた。これらの作業は容器リサイクルの行程の中で最もコストがかかるとされ、その費用負担は自治体に重くのしかかる。

【図】飲料水(500ml)利用のCO2排出量比較(提供:FoE Japan)

キャンペーンではこうした現状を改善する一歩として、水道水の利用を呼び掛ける。水道水の弱点である臭みも、東京都内では高度浄水処理のおかげで以前よりも改善しつつある。また、ペットボトル飲料が500ミリリットル詰めで150円前後なのに対して、水道水ならば1リットルでわずか約0.1円(東京都内)に過ぎない。

FoE Japanで廃棄物・3R政策を担当する瀬口亮子理事は「ペットボトル飲料は環境負荷が大きく、省庁や自治体が率先して調達を禁止する例が国内外で現れてきている。水道水を利用することで脱・使い捨てが促される」と語る。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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