桜の実に集うワカケホンセイインコ(坂本 優)

今のところ競合や食害で絶滅が危惧されるような野鳥や動植物が見当たらないからか、交雑が懸念される日本固有のインコもいないからか、外来種ながら駆除対象になったという話は聞かない。その割に増加が頭打ちなのは冬の寒さによるものだろうか。

あるいは食物不足による限界、天敵による捕食圧があるのだろうか。

カラスを避けるかのように換気口に入り周囲をうかがうワカケホンセイインコ。カラスが去ってから近くのイチョウの木に移った。(東大本郷キャンパスにて)

天敵、ということに関しては思い当たることがある。本郷キャンパスで観察しているときに感じたのだが、彼らはカラスに対する警戒感が非常に強い。襲われるのを目撃したことはないが、カラスが近くにくると建物の通気口などに入ってしまい、カラスがいなくなってから周囲を見渡しながら出てくる、そういった場面を数回観察した。

カラスはハトなどを捕らえるとき尾羽を狙うことがしばしばある。以前、川沿いでパンの耳などを大量に撒く人がいて、カモ、カモメ、ハトなどが待ち受け、パニックのように鳴きかわしながら殺到する光景に何度か出くわした。

そのようなとき、夢中になってパンを奪い合うハトの後ろに、カラスが静かに近づき一瞬のすきに尾羽を咥えて捕らえてしまう姿を一度ならず見た。

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坂本 優(生きものコラムニスト/環境NGO代表)

1953年生。東京大学卒業後、味の素株式会社入社。法務・総務業務を中心に担当。カルピス株式会社(現アサヒ飲料株式会社)出向、転籍を経て、同社のアサヒグループ入り以降、同グループ各社で、法務・コンプライアンス業務等を担当。2018年12月65歳をもって退職。大学時代「動物の科学研究会」に参加。味の素在籍時、現「味の素バードサンクチュアリ」を開設する等、生きものを通した環境問題にも通じる。(2011年以降、バルディーズ研究会議長。趣味ラグビー シニアラグビーチーム「不惑倶楽部」の黄色パンツ (数え歳70代チーム)にて現役続行中)

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