英国政府は、レジ袋の公定価格を現在の5ペンス(約7円)から倍の10ペンス(約14円)に引き上げると発表した。プラごみ削減対策の一環で、2021年4月から実施する。現在は有料化対象外の小規模小売業者にも、来年からは顧客への課金が義務付けされるため、レジ袋は全国一律で有料となる。(ロンドン=冨久岡ナヲ)
英国環境省(正式名は環境・食糧・農村地域省)は、昨年からレジ袋の値上げについて一般意見聴聞を行ない調整を進めていたが、大多数が賛成という結果をもとに今回の決定を出した。
2011年から2015年まで地域ごとに導入されてきた有料化は、それまで国民一人当たり換算で年間140枚だったレジ袋使用量を、一人当たり年間19枚と大幅に下げることに成功した。
しかし、コロナ禍で衛生上の懸念からマイバッグを使わずにシングルユースのレジ袋を購入する買物客が増えた。路上に捨てられたレジ袋が再び問題視されるようになり、医療用のプラスチック製品使用量の激増とも合わせてプラごみ削減への新たな取り組みの必要性が叫ばれていた。
また、現在は従業員250名以下の小売店ではレジ袋課金は義務ではない。中には任意で5ペンスを徴収している店もあるが、来年4月からは全国どの規模の小売店でも有料化される。
イングランドだけの統計を見ても、いまだに毎年36億枚のレジ袋が顧客に提供されているという。すべての小売業者が対象となることで、マイバッグの使用頻度をより高めることが期待されている。
グリーンピースUKはこの動きを歓迎するとともに「レジ袋はプラごみ問題のほんの一部でしかない。プラスチックを使ったマイバッグ廃止など他にも必要な取り組みは多数ある。また、買い物客に負担を強いるなら、コロナ需要で以前よりも大量にシングルユースのプラスチック製品を製造している企業への負担を求めないことへの言い訳は見つからない」とBBC国営放送の取材で語った。
大手スーパー各社は昨年からレジ袋そのものを店内に置くことをすでに廃止し、マイバッグを忘れた人が購入できるのはリユーザブルバッグのみ、と政府の取り組みの先を行っている。
一度購入したバッグは、古くなったり破れたりして使えなくなった場合無料で新しいものに交換してもらえる。さらにモリソンズとウェイトローズはともに、プラスチック製リユーザブルバッグの販売もやめて紙製の丈夫な袋を20ペンス(28円)程度で提供することに切り替える方針だ。8月からトライアルをスタートしている。