多様性と包摂性(D&I)の先にある新概念

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最近よく知られるようになったダイバーシティー(多様性)の概念。この概念を改めて確認すると、主に人の属性(性別・人種など)の多様さを意味する。またこれに関連して言われるのがインクルージョン(包摂性)の概念。こちらはいかなる属性も排除されない状況を指す。

ちなみに英語圏ではよく「パーティーに招待されること」が多様性、「ダンスに誘われること」が包摂性と例える。言い換えると多様性はパーティーにおける「事実」を、包摂性は参加者による「行動」を示す。

これに加えて最近急速に広まったのが「ビロンギング」(belonging)と呼ばれる概念だ。直訳では帰属性を意味する。ただこの場合の帰属とは滅私奉公的な意味ではない。個性を殺さず組織に関与できる心地よさをいう。本欄なりに前述の例えを踏襲すると「仮面を付けることなくパーティー社会に参加できる雰囲気」が帰属性といえよう。言い換えると事実・行動に対する感情的な「結果」が帰属性となる。

米国の経営界では、ビロンギングの重視が「人材確保の鍵」になるとの意識も拡大。テック系企業を中心に同語を冠した役職を設ける事例も現れた。

morihiroshi

もり ひろし(新語ウォッチャー)

新語ウォッチャー。国語辞典の新項目執筆を中心に活動。代表的な連載に「現代用語の基礎知識」の流行観測欄(2010年版~)など。執筆記事一覧

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