木製品製造販売のやまとわ(長野県伊那市)と伊那市は、同市の森についてオンラインで話し合う「伊那谷フォレストカレッジ」を開講する。11月21日から来年2月27日までの毎週土曜の予定。林業従事者をはじめ、学生、社団法人職員、建築家など市外から参加者を募った。伊那市の森をテーマに、伐採の人手不足など森が直面する課題に、他の地域や他業種の人も巻き込み、「自分ごと」として多角的に取り組むことを目指す。(オルタナ編集部・松田ゆきの)

やまとわと伊那市が2022年度までの3カ年の事業として立ち上げた伊那谷フォレストカレッジ

伊那谷フォレストカレッジの講義は専門知識を持つ講師を招き、全7回行われる。11月上旬には、元パタゴニア日本支社長の辻井隆行氏と森林ライターの赤堀楠雄氏による事前の公開講義が行われた。この事前講義はYouTubeで見ることができる。

伊那市は2016年2月に「伊那市50年の森林(もり)ビジョン」を策定した。市の面積のうち82%を森林が占めており、自然や森林を「資本」ととらえて、森林と市民が一つとなる社会(ソーシャル・フォレストリー=社会林業都市)づくりに取り組んでいる。

同市をはじめ日本の森林で課題となっているのが、伐採すべき植林の多くが放置されていることだ。日本の国土面積の約7割は森林が占めるが、日本の林業従事者はわずか5万人で、現職の林業従事者たちだけでは手に負えない状況が続く。

やまとわ取締役で、伊那谷フォレストカレッジ協議会の奥田悠史さんは、同社の「KOA森林塾」という人材育成プログラムで木こりの育成を行っていた。しかし、人手不足という林業の現状を受けて、林業従事者以外の幅広い市民や外部の人々も巻き込み、森林の問題を考えるためのコミュニティづくりが必要だと考えた。

奥田さんは、「森の課題を話すと、林業の話にすぐ帰結してしまうことが問題だ」と言う。林業が持続可能な産業になるために、他の産業と林業とをかけ合わせ、森を「産業のフィールド」として使うことが一つの解決策になると主張する。

解決に向けて、やまとわと伊那市が2022年度までの3カ年の事業として立ち上げたのが、伊那谷フォレストカレッジだ。やまとわはKOA森林塾など人材育成事業に取り組んできた経験を活かし、同カレッジを舞台に林業とまちづくりを官民連携で進める考えだ。

伊那谷フォレストカレッジは、様々な業種の知見を生かして伊那市の林業を考えるコミュニティづくりという点で、全国でも例のない取り組みとなる。参加申し込みはすでに締め切ったが、全国各地から森に関心を持つ老若男女約190人の申し込みがあったという。