【特集】エシカル消費、SDGsが牽引

「エシカル消費」という言葉が世に出てきて10年あまりが過ぎた。エコやフェアトレード、プラゴミ削減などサステナブルな消費行動全般を指す概念だが、ここに来て、その機運が急速に高まり始めた。きっかけは2015年のSDGs(持続可能な開発目標)とZ世代(1995年生まれ以降)の台頭だ。(オルタナ編集長=森摂、吉田広子、池田真隆、三宅千鶴、松田ゆきの、岩澤里見、クローディア-真理、寺町幸枝)

自己利益も社会の幸福も

「日本企業は『ファッションパクト』に1社も署名していません。ぜひ皆さんの企業が著名してください」

2020年8月26日午前、小泉進次郎環境相がオンライン会議の席上で国内の主要アパレル企業にこう呼び掛けた。

ファッションの透明性について強調する小泉環境相とファッションレボリューションジャパンに所属するエシカルファッションプランナーの鎌田安里紗さん

ファッションパクト(ファッション協定)は2019年8月、フランスでの主要7カ国首脳会議(G7サミット)で提案された、環境負荷削減のためのイニシアティブだ。マクロン仏大統領が、アパレル主要企業に削減目標の開示を求めていたことが背景にあった。

協定にはシャネル、H&M、インディテックス、アディダスなど8カ国、32グループ147ブランドが署名した。しかし小泉環境相の指摘の通り、そこに日本の企業の名前はなかった。

環境省の勉強会に参加したのは伊藤忠商事、豊島、日本環境設計、倉敷紡績、東レ、帝人フロンティア、H&Mジャパン、アダストリア、ファーストリテイリングの9社。進行役はエシカルファッションプランナーで、モデルの鎌田安里紗さんだった。彼女が小泉環境相に持ち掛け、この日の勉強会が実現した。

鎌田さんは高校2年生(17歳)の時から10年間、「エシカルファッション」を発信してきた。その彼女は、こう指摘する。

「国連棒植木開発会議(UNCTAD)は、ファッション産業を『世界で2番目のCO2排出産業』と位置づけています。ファッション業界は毎年、500万人が暮らすために必要な水を使い、約50万トンものプラスチックでできた合成繊維を海に投棄しているのです」

鎌田さんらが拡散する「エシカルファッション」の発祥は英国だ。キャサリン・ハムネットやステラ・マッカートニーらの「エシカルファッション」ブランドが相次いで誕生した。2008年ごろ、日本のファッション誌が英エシカルファッション特集を組み、鎌田さんも興味を持ったという。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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