【連載】ソーシャルデザイン最前線

新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、さまざまなソーシャルデザインが行われています。最前線で奮闘する医療従事者らに決まった時間に拍手をしたり、建物を青くライトアップしたりするアクションが広がりました。(福井 祟人)

ネット上でもさまざまなアクションが大きな反響を呼んでいます。星野源さんは自身のインスタグラムで新曲「うちで踊ろう」を発表。演出家の宮本亞門さんが呼びかけた「上を向いて歩こう」をみんなで歌うプロジェクト動画がユーチューブで公開。ミュージカル「レ・ミゼラブル」に劇中歌「民衆の歌」をリレー歌唱する動画もユーチューブで公開されました。

医療従事者や感染者への偏見や差別が問題となっているなか、日本赤十字社は絵本アニメーション「ウイルスの次にやってくるもの」をユーチューブで公開し、話題を集めています。新型コロナウイルス感染症から。心や社会を守るための心構えを伝える絵本アニメーションです。

脳は、目に見えている顕在意識が1%ほどで、目に見えていない潜在意識が99%ほどと言われています。つまり、目に見えない潜在意識に脳のほとんどが支配されている。潜在意識には、ポジティブとネガティブな感情のひとに「恐怖」があります。

絵本アニメーション動画では、この「恐怖」をモンスターに比喩し、「悪いのは『人』ではなく『恐怖』と表現している点が、クリエーティブのユニークなところです。「恐怖」をキャラクターにし、「人」から切り離した表現をすることで、自分に置き換えやすくなり、自らの言動も振り返りやすくなります。

新型コロナウイルスの「恐怖」と「人」のテーマ以外にも、もしかしたら「人」と「嫉妬」、「人」と「悲しみ」。「人」と「不安」、「寂しさ」「孤独」「怒り」など「人」と「ネガティブ」なことを切り離して表現できるかもしれません。

ナレーションでは、「恐怖にえさを与えない」ように「家族や友人と電話し笑おう、きちんと食べて眠ろう、励まし合おう、応援し合おう、人と団結すれば強く賢い」と呼びかけています。徳を学べる教育コンテンツともいえます。

福井 祟人
カンヌ、NYADC、ADCなど国内外の広告賞の数々受賞。電通を経て、2017年事業構想大学院大学客員教授。京都芸術大学客員教授、一般社団法人2025PROJECT代表理事など他。書籍のプロデュースに『足りないピース』(小学館)、『Love Peace & Green たりないピース2』(小学館)、『エコトバ』(小学館)、『世界を変える仕事44』(ディスカバー21)、『この子を救うのは、わたしかもしれない』(小学館)、『希望をつくる仕事ソーシャルデザイン』(宣伝会議)。『シャプラニール流人生を変える働き方』(エスプレ)など多数。オーナーや社長の伴走者となり、30年間の経験による入口の経営コンサルから出口のクリエーティブまで一気通貫のブランド戦略開発といった独自のソーシャルデザインメソッドとシナジーを考慮したブランディングプロデューサー。